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デザインで魅力高め  デザイナー故・中川 憲造さん

横浜みなと新聞 神奈川新聞  2019年07月08日 12:18

横浜三塔を同時に見渡せる赤レンガパークの「足跡」を紹介する中川さん=5月30日、象の鼻テラス
横浜三塔を同時に見渡せる赤レンガパークの「足跡」を紹介する中川さん=5月30日、象の鼻テラス

 6月20日に72歳で亡くなったグラフィックデザイナーの中川憲造さんは、デザインでミナト横浜の魅力を高め、まちづくりや地域の活性化に尽力した。1994年に設立したデザイン会社「NDCグラフィックス」(横浜市中区)の代表兼デザインディレクターとして、常に新たな提案を発し続けた。

 中川さんが手掛けたデザインは、2002年に完成した横浜港大さん橋国際客船ターミナル(同区)や周辺で数多く触れることができる。ウッドデッキで覆われたユニークな設計の大さん橋を中川さんはとても気に入り、その一角では船や海の横浜グッズを中心に扱うショップ「エクスポート」を運営してきた。


屋上のデッキに描かれた横浜三塔の巨大グラフィック=大さん橋
屋上のデッキに描かれた横浜三塔の巨大グラフィック=大さん橋

 屋上のデッキには、横浜港のシンボルでもある三つの塔、県庁本庁舎(キング)・横浜税関(クイーン)・横浜市開港記念会館(ジャック)を一望できるビュースポットとして小さな足跡が描かれている。

 大さん橋の設計者は、デッキ上に案内板を立てることを禁じていた。市が06年、ビュースポットを整備するため足跡のデザインを中川さんに依頼したところ、中川さんは眼下に広がる下層のデッキにも三塔の巨大なグラフィックを描こうと提案、両方とも実現させた。

 赤レンガパーク(同区)など三塔が同時に望める他のスポットにも自らデザインした足跡のプレートが整備され、市民や観光客が歩いてミナトに親しむ“名所”となった。


中川さんがデザインした客船送迎シャトルバス。同じ色のバス停も登場した
中川さんがデザインした客船送迎シャトルバス。同じ色のバス停も登場した

 横浜港のクルーズ客船の寄港数が過去最多となった18年、市交通局から依頼を受けて黄色い客船送迎シャトルバスのデザインを考案したのも中川さんだった。バスと同じドットが描かれた黄色い巨大なバス停も提案。今秋にもブルーの客船送迎シャトルバスが新港地区などを巡ることを心待ちにし、「私たちがデザインしたバスが街を走り回るのは大変うれしい」と語っていた。

 「デザインは人の役に立つもの」と、横浜市中心街の地図を毎年更新するなど、生活者の視点でデザインを企画制作してきた中川さん。5月30日、ミナト横浜での活動の集大成を「デザインされた街」というテーマで象の鼻テラス(同区)で講演したのが公での最後の姿となった。NPO法人横浜シティガイド協会と象の鼻テラスが主催したもので、参加した市民ら約50人を前に「皆さん自身の意識が変われば、街が変わっていく」と、デザインが持つ力を信じ続けた。


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