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思い出に寄り添う音楽 加山雄三インタビュー

カルチャー 神奈川新聞  2019年07月05日 20:28

 6月6日から4年ぶりの全国ツアーを行っている加山雄三。82歳となった今も、全国のロックフェスに参戦するなど積極的に音楽活動を展開している。6月5日には、加山雄三の作曲家名義「弾厚作」と、作詞家・岩谷時子のコンビが生み出した楽曲をまとめたCDを発表。音楽に懸ける情熱や曲作りの思い出について聞いた。

 ツアーの初日は自身が育った茅ケ崎。5月に腰椎を骨折したが、負傷を感じさせないパワフルなステージで観客を沸かせた。「お客さんが温かく拍手をしてくれてうれしかった。腰が痛いのに頑張って歌っているなと応援してくれたのかな」と笑う。

 今回発売したのは、「海 その愛」「君といつまでも」などの代表作を世に送り出した岩谷と弾コンビによる全151曲から、加山がレコーディングした全140曲をCD7枚組にまとめたボックスと、その中からファンによる投票で選ばれた15曲を収録したCD「ベスト・ワークス・コレクション」の2種類だ。


「岩谷時子=弾厚作 ベスト・ワークス・コレクション」3000円
「岩谷時子=弾厚作 ベスト・ワークス・コレクション」3000円

 「岩谷さんがいなければ今の僕はなかった」と言うほど、全幅の信頼と尊敬を寄せていた加山。初めて詩を付けてもらったのは「恋は紅いバラ」。「もともと自分で英語の詩を付けていた楽曲を半信半疑で岩谷さんに渡したら、曲にぴったりな日本語の歌詞になっていて驚いた。それがご縁でたくさんの作品に詩を付けていただいた」と振り返る。加山がギターやピアノに合わせて鼻歌を歌うと、遅くても3日後には歌詞が付けられていたという。

 「岩谷さんの詩は、普遍性があるところが素晴らしい」と語る。「いつの時代になっても通用する愛の深さや人間の性(さが)、自然の美しさが情景として浮かんできて、現代においても全く古さを感じさせない。心から書かれた歌詞だからこそ、聴く人の心に訴えるのだと思う」

 ファンが選んだ1位は「海 その愛」。その次に「君といつまでも」「旅人よ」などが続く。「やはり、岩谷さんが特に力を入れてくださった曲が選ばれていると思う」と納得の表情。また14位に入った「LIFE」は「歌っていて自分の人生が浮かび、胸が詰まるような楽曲」だという。「人生を振り返る時、その時代ごとの音楽がいつも思い出に寄り添っている。音楽にはそんな力があると思う」

 CDとツアーの収益の一部は、3月に加山と日本セーリング同盟が設立した「海 その愛基金 海洋環境クリーンプロジェクト」に寄付する。人生で多くの時間を海とともに過ごしてきた加山。「海をきれいにすることは自然環境保全の基本。行政や企業任せではなく、一人一人の意識改革を促していきたい」と力を込めた。


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