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いじめテーマの劇 現役教師らが出演 川崎で8月に

話題 神奈川新聞  2019年07月01日 11:25

稽古に励む出演者。現役の教諭が親の役を演じる=川崎市高津区の稽古場
稽古に励む出演者。現役の教諭が親の役を演じる=川崎市高津区の稽古場

 いじめ問題を扱った演劇が8月、川崎市内で上演される。現役教諭7人も出演。多くの小中高生に見てほしいと、クラウドファンディングで招待チケットに充てる費用も募っている。上演を企画し、演出を務める小山裕嗣さん(39)は「なぜいじめという悲しい出来事が起きるのか、どうすれば明日の希望を抱くことができるのか、深く考えさせる作品。人ごとではなく、自分のこととして向き合うことができる舞台を、多くの子どもたちに見てほしい」と話す。

 「この場面では、校長を激しくなじるのではなく、寄り添っている雰囲気を出した方がいいね」

 平日夜。高津区内の稽古場で、小山さんが出演者のセリフのトーンに細かい指示を出していた。

 上演する作品は「親の顔が見たい」(畑澤聖悟作)。2008年の初演で、同年の鶴屋南北賞にノミネートされ、その後、多くの劇団によってたびたび再演されている佳作だ。

 名門私立女子中学校で起こったいじめによる自殺-。5人の生徒が関わったとされ、学校に呼び出された8人の保護者と校長、学年主任、新任教師が会議室で繰り広げるやりとりが、場面転換も暗転もない一幕の対話劇として描かれる。

 5人の中学生は登場しないが、互いのエゴが交錯する親同士のやりとりから、子どもたちの姿も次第に浮かび上がってくる。


演出家の小山裕嗣さん
演出家の小山裕嗣さん

 小山さんが同作を演出するのは2度目。3年前の上演後、中学校教諭から「いじめがテーマなのでためらいもあったが、最後に希望が感じられた。また明日から、学校で頑張ろうと強く思える内容だった」との感想をもらったという。

 「いじめで悲しい事件が起きると、学校の隠蔽(いんぺい)体質や加害者を非難することはあっても、皆、人ごとのように感じ取っているように思う」と小山さんは話す。

 再演に当たり、現役教諭に出演してもらうことを考えた。もちろん本職の役者も出演。中には過去にいじめを受けた経験を持つ出演者もいる。

 今回、舞台を挟むように両側に客席を設けた。観客が、校長や保護者のいる会議室で隣席にいるように感じる演出だ。

 小山さんは言う。「人と人が交わるところでは、いじめは起き得る。自分自身が、あるいは自分の子が、加害者、被害者にもなり得る。どうすればいじめを回避できるか。教え諭すのではなく、当事者の心理を疑似体験し、考えることができるのが芝居の魅力。だからこそ、子どもたちに見てもらいたい」

 毎年、夏休み明けには、いじめなどに悩み、自ら命を絶つ子どもたちが増える。だから、公演日は夏休みの終盤に設定した。

 千葉県の私立小教諭の久保田直子さん(47)は舞台初体験。演劇教育の研修などを通じ、小山さんに声を掛けられ、出演を決めた。加害者の母親役を演じる。「低学年を長く受け持っていることもあり、いじめのニュースはどこか人ごとのように受け止めていた。ラストに希望を感じさせるこの作品に共感します」と日々の稽古に励んでいる。

 小中高生の招待チケットの費用に充てるクラウドファンディングは、200人分で50万円が目標。専用サイト「キャンプファイヤー」にアクセスし、サイト内で「親の顔が見たい」を検索する。15日まで募集する。

 公演は8月22~24日で全5ステージ。前売りは一般3千円(当日3500円)、学生1500円(同2千円)。問い合わせはArt-Loving OFFICE(小山さん)電話0267(45)8262。


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