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時代の正体 メディア考
区別つかない会見と発信 南彰新聞労連委員長講演(1)

時代の正体 神奈川新聞  2019年06月30日 11:14

南彰新聞労連委員長
南彰新聞労連委員長

 菅義偉官房長官の記者会見での東京新聞・望月衣塑子記者に対する質問妨害や、大阪府・市職員による記者の取材の無断録音など、政治とメディアの関係について深刻な問題が浮上する。そうした現状を受けて、南彰新聞労連中央執行委員長の講演会「菅VS望月から見えた政治とメディアの課題」(主催・勁草塾)が26日、横浜市中区で開かれた。詳報する。

 菅官房長官のお膝元の横浜であり、気合を入れて話さなければならないと思い、やって来た。主に官邸取材の現状を中心に据え、一緒に皆さんと考え、克服していきたいことについて話したい。

 直近だが、大阪で無断録音問題が起きている。大阪では相当な騒ぎになっており、ご紹介したい。

 発覚したのは6月21日。大阪では春の統一選で大阪維新の会が知事選、市長選のダブル選挙に勝ち、再び大阪都構想の議論が進んでいる。その制度設計は法定協議会(法定協)で各党の議員が集まって議論しており、(この日の)法定協終了後に毎日新聞の記者が自民党の府議、市議を取材していた。すると、背後から都構想を担当する(府と市の共同部署である)副首都推進局の職員が無断で取材を録音し、記者が気づいて大騒ぎになった。

 調べてみると、2017年から法定協のたび、同局職員が政党ごとに担当を決め、終了後の取材のようすを無断で録音していた。しかも大勢の記者が囲み、カメラが回る「表」の取材ならまだしも、記者が一対一で行う個別取材についてもこっそり役人が後ろからICレコーダーを回し、テープ起こしをして内容を共有していたという。

 大阪府・市側は法定協の運営に役立てるためと釈明し、取材を妨害する意図はなく個別の取材を録音するということは認識が誤っていたと、この日の段階は陳謝した。

 ところが日本維新の会の共同代表も務める松井一郎大阪市長は猛反論してきた。24日、記者団にこの件を聞かれた際、「政治家が庁舎内の廊下でしゃべったことはだれに聞かれても自分の責任」と言った。公人が何を話しているか役所が把握したいのは当たり前と開き直り、問題はないと正当化した。

 個別取材で誰が何を言っているかということは取材の秘匿にも関わる。取材源の秘匿や取材内容の保秘をしっかりとして初めて相手との信頼関係ができ、取材が成り立つ現場はたくさんある。それを行政機関が勝手にこっそり録音し、内容が役所に筒抜けかもしれないという環境では、安心して取材できない。ひいては国民、市民の知る権利を侵害することになる。きわめて危険であり25日、新聞労連として抗議声明を出した。

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