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マエストロの音楽手帳
指揮者とオケの関係

カルチャー 神奈川新聞  2019年06月25日 08:01

ちなみに家では彼に絶対服従です
ちなみに家では彼に絶対服従です

【2019年6月23日紙面掲載】
※神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者

 指揮者とオーケストラの関係性を皆さんはどのように想像するだろうか? 先生と生徒のような関係性? それとも、指揮者は独裁者でオーケストラは絶対服従!? はたまた…指揮者の立場は意外と弱くて、いつもオーケストラにイジメられてる…? さぁ! その答えは…!

 実は指揮者である僕にも分からないのです。しかし確実に言えるのは先に挙げたどれでもないってこと。指揮者という立場は案外社会を反映する職業なのかもしれません。ヒトラーやムソリーニのような独裁者がいた時代はオーケストラでも独裁的なリーダーシップを執る指揮者がたくさんいました。しかし、社会がより民主的になり独裁的なものを拒むようになるとオーケストラも民主的な指揮者を求めるようになります。

 指揮者という職業はステージの上で唯一音を出さない音楽家です。昔なら「指揮者が音を出させている」と捉えていたのかもしれませんが、今は「指揮者は音を出してもらっている」という立場なのです。先生でもなければ独裁者でもない。指揮者とオーケストラの関係とは音楽を共有する仲間なんだと思います。

 オーケストラは社会の縮図。いろんな考えを持った人たちがいます。時には自分とは真逆の考えを持つ人もいます。僕はそれをうっとうしいから排除しようとは決して思いません。自分と考えが違うからこそ面白い! と思うようにしています。こちらが常に心をオープンにしていると実は自分の心が豊かになっていくことに気付かされます。

 フェイスブックやツイッターなどで自分と考えが合わなくて、関わりを持ちたくない、と思えば簡単にブロックする事ができてしまう今の時代、ものすごくアナログな事をやっている指揮者とオーケストラの関係性に今の時代を、そして、これからを生きるヒントが案外隠されているかもしれませんね。


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