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時代の正体 登戸事件・練馬事件考
「引きこもり」報道の波紋(上)怒りに水 浴びた批判

時代の正体 神奈川新聞  2019年06月20日 15:00

記者の視点 川崎総局 桐生勇】川崎市多摩区の路上で5月、児童ら20人が殺傷された事件。容疑者が引きこもり傾向にあったとの報道後には、元農林水産事務次官が引きこもりの長男を殺害したとされる事件も起きた。二つの事件後、テレビやインターネットでは「1人で死ね」「父親は良く決断した」などと過激な言説が流れ、拡散した。怒りの感情がむき出しで吐かれる社会とは何か、メディアは事件をどう報じたのか、改めて考えた。

 5月28日の登戸駅近くの路上。スーツ姿の男性が手にする紺色のスクールバッグには、おびただしい血が付いていた。

 「お子さんのですか」

 そう尋ねると、すぐさま数人の記者が男性を取り囲んだ。男性は戸惑いながらも、小学校1年生の娘が刃物で切られて負傷し、病院に運ばれたこと、救護テントで会い、意識があり、命に別条はないことなどを話してくれた。

 2人の捜査員が割って入り、父親の背を抱くようにして駅へと誘導した。病院に向かう父親の後を、私を含め数人の記者が追った。

 「ひとでなし」。話を聞こうと追いすがる私をにらみながら、捜査員がうなるように言った。

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