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【シネマ散歩】
【泣くな赤鬼】野球通じた魂の交流

カルチャー 神奈川新聞  2019年06月14日 16:47


 14日から横浜ブルク13、109シネマズ川崎などで上映。

 重松清の短編集「せんせい。」所収の同名作品を映画化。昔の教え子と出会った教師が、生徒と真剣に向き合う情熱を取り戻すまでの心の交流をストレートに描く。

 日に焼けた顔と厳しい指導から“赤鬼先生”と呼ばれ恐れられていた小渕隆(堤真一=写真右)。甲子園出場を目指し、強豪野球部を率いて勝ち進むも県予選決勝で敗退。10年の月日が流れ、野球への情熱を失っていたある日、かつての教え子・ゴルゴこと斎藤智之(柳楽優弥=同左)と再会する。

 入部当初から頭角を現していたが、こらえ性がない彼を奮起させようと、小渕はゴルゴのポジションを、努力家の和田圭吾に交代する。しかしその真意をくみ取れないゴルゴはそのまま挫折し、高校を退学。今は幸せな家庭を築いていたゴルゴだが、末期がんで余命半年を宣告される。彼の最後の願いをかなえようと、赤鬼先生が動きだす。

 成長した和田(竜星涼)の「僕らは先生の夢をかなえるための道具でしかなかった」という言葉が胸に突き刺さる。甲子園にこだわるあまり、ないがしろにしてしまった部員個人の思いや家族との関係。戻れない日々を思い、登場人物たちがたたずむ静かな場面がやるせなさを感じさせる。

 試合のシーンは、元高校球児だった俳優などを集めて撮影。野球部の練習風景が丹念に描かれ、作品に説得力を与えている。


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