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苦労や魅力、子どもたちに 絵本で伝える農業

話題 神奈川新聞  2019年06月10日 12:14

絵本を手掛けた村瀬さん(左)と栗山さん=川崎市高津区
絵本を手掛けた村瀬さん(左)と栗山さん=川崎市高津区

 川崎市高津区のクリエーター集団が、市内の農を伝える絵本を制作した。タイトルは「まちのはたけとなかよくなろう」。愛らしい猫や犬のキャラクターが農地や直売所を巡るストーリーだ。作物を育てる大変さや、農地保全の大切さ。都市農業を取り巻く現状を次世代に向けて伝えている。

 都内から越してきたボーダーコリーの「チャオ」に長靴を履いた「農家ネコ」の「サヴァ」が無人直売所での野菜の買い方を教えている。でも、サヴァは悲しそう。

 「中にはこっそり持って行っちゃう人もいるんだ」。土を耕し、水や肥料をしっかりあげて草取りも頑張らないといけない。それでも天気が悪い日が続くとうまくできないこともある。「だから、できあがった野菜は本当に大切なものなんだよ」-。

 制作したのは高津区を拠点とするクリエーターグループ「ノクチ基地」のメンバーを中心とした、「まちの畑実行委員会」。デザイナーとして活動する村瀬成人さん(63)は言う。「市内に直売所があることを知ってもらうとともに、大変な思いをして育ててくれたものを持って行くのはいけないことだよね、というところまでつなげたい」

 市都市農業振興センターの「かわさき農のマナーUP」プロジェクトの一環。昨年3月にマナー向上を訴えるポスターや小冊子を制作したところ、愛らしい「サヴァ」のイラストが好評だったことから、さらに一歩進め、子ども向けの絵本の制作に取り掛かった。

 制作の入り口には驚きもあった。「昨年農家さんを取材した時に、こんなに大変なんだと知った」とフリーの編集者、ライターとして活動する栗山琢宏さん(56)。100日以上、休まずに汗を流す。その一方、畑や無人の直売所から作物を盗まれ、ペットボトルや空き缶を捨てられる被害に悩んでいた。

 「かすかな望みだけど、子どものうちから農地の大切さを教えていくことで、彼らが大人になったときに、今より農地を守れるのかな」と村瀬さん。栗山さんは「幼稚園、保育園の子どもたちにも、畑って楽しそうだねというのが伝わればいい」と期待を寄せる。

 絵本は市立小学校全114校と市立図書館10館に配布。さらに一部のカフェにも送ったほか、市内で開かれる農業関連イベントでも配られる予定だ。

 物語のおしまいで、「サヴァ」と「チャオ」はたくさんの野菜を抱えてこう呼び掛ける。「僕たちのまちに畑があると、採れたての新鮮な野菜を食べることができるんだよ。『まちのはたけ』と仲良くしようね」

 まちの畑実行委員会のホームページ(http://machinohatake.net)からもダウンロード可能。


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