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農業×発電、復活へ 台風で設備倒壊した小田原の水田

話題 神奈川新聞  2019年06月07日 10:49

復活したソーラーシェアリングの発電所=小田原市桑原
復活したソーラーシェアリングの発電所=小田原市桑原

 農業を営みながら太陽光発電事業も手掛ける「ソーラーシェアリング」(営農型太陽光発電所)で、県内初となる水田を使った設備が復活する。昨年9月、初めての収穫を目前に台風で倒壊。設備に工夫などを重ねて再建にこぎつけ、今月8日に田植えを迎える。一からの再建へ、運営する合同会社「小田原かなごてファーム」を突き動かしたのは「耕作放棄地を何とかしたい」という思いだった。

 小田原市桑原にあるこの施設は、約12アールの休耕田に約200枚のパネルを設置して昨年3月に完成した。

 水田の上に設置するのは県内初で、周囲からは日照不足などを不安視されたが、同社の小山田大和さん(39)は「近年は夏の日差しが強い。統計的にもさえぎった方がよいというデータもある。非常識が常識になってきている」と気にしなかった。実際、稲は順調に生育した。

 小山田さんが痛恨事として振り返るのが昨年9月末に襲来した台風24号だ。パネルを乗せていた支柱が根元から折れ、次々とドミノのように倒れた。下には収穫を待つばかりの稲穂があったが、設備の解体のためには諦めるしかなかった。


昨年9月の台風で倒壊した発電設備(小田原かなごてファーム提供)
昨年9月の台風で倒壊した発電設備(小田原かなごてファーム提供)

 「絶対立て直す、と思った」という小山田さん。周りから不安視されていただけに、この新しい発電所を普及させるためには成功事例を示さなければならなかった。支柱となるくいを多くし、より深く打ち込んだ。また強度を増すために筋交いもつけた。再び1400万円ほどかけて今年5月に再建することができた。

 発電能力は倒壊前と変わらず最大約60キロワットで、同月から20年間の契約で売電を始めた。収入は年間約150万円で、メンテナンスは特に必要ないが、建設費などの回収には10年かかる。

 通常、12アールぐらいの水田で米を栽培すると収入は8万~10万円という。水田の上に発電所を造れば150万円の収入がプラスされることになる。小山田さんは「安定的な収入が増えれば、少しは息子に継がせようとする農家が出てくるのではないか」と考える。それが増加する耕作放棄地の歯止めにもつながることを期待している。

 8日には復活の田植えを行う予定。出来上がった米はやはり同社が耕作放棄地で育てたミカンを使って、井上酒造(大井町)が新しい酒を開発するという。


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