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古典の息を吹き返す 劇団・地点がロシアで「罪と罰」上演

カルチャー 神奈川新聞  2019年05月30日 17:22

「ボリショイ・ドラマ劇場からの演出オファーは本当に光栄なこと」と話す三浦基=東京都港区
「ボリショイ・ドラマ劇場からの演出オファーは本当に光栄なこと」と話す三浦基=東京都港区

 劇団「地点」の演出家、三浦基が2020年6月、ドストエフスキーの代表作「罪と罰」をロシア・サンクトペテルブルクの国立劇場、ボリショイ・ドラマ劇場(BDT)で上演する。ロシア作品を数多く手掛けてきた「地点」に同劇場が依頼し、演出が実現。同年2~3月には「地点版『罪と罰』」を県内で披露する。

 「罪と罰」の舞台はサンクトペテルブルク。「(現地の)お客さんからしたら食傷気味になっているような作品。もう1回息を吹き返してほしいという期待も込められていると思い、二つ返事で『やります』と答えました」。20日、在日ロシア連邦大使館(東京都港区)で開かれた制作発表会見で、三浦はオファーを受けた時の心境を振り返った。

 チェーホフ四大戯曲の連続上演をはじめ、「地点」とロシア文学の関係は深い。11年以降はロシアの劇場で公演を重ね、現地の演劇関係者と交流を図ってきた。16年にはBDTで舞台「かもめ」を上演。昨春は三浦が演出家養成クラスの講師としてBDTに招聘(しょうへい)されており、「罪と罰」のオファーはこうした長年の親交によって形となった。

 高校生の頃に熱心に読んだという「罪と罰」について、三浦は「ほとんどラスコーリニコフの独白で物語が運ばれるので、演劇化は難しい」。宗教的なテーマも重要な作品だとして、「これを真正面からどう扱えるかを考えているところです」と構想を語った。

 BDTでの公演に先駆け、20年2~3月に県立青少年センター(横浜市西区)で、同下旬に京都で「地点版『罪と罰』」を上演する。「自分の現場である『地点』が最も自分の力を発揮できる場。まずは『地点』の俳優と一緒に準備をしたい」とその意図を明かし、「この公演をそのままBDTに移行できるとは思わないが、原型となるような世界観とテキストを作りたい」と意気込んだ。

 来月にサンクトペテルブルクに赴きキャスティングオーディションを実施する。「俳優の層が厚いのでいろいろなことを実験してみたい。大きな仕事を控えていることは演出家としてとても幸福なこと」と、現地での創作を心待ちにしていた。

 会見では、KAAT神奈川芸術劇場(同市中区)で今月27日に開幕した舞台「シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!」にも言及した。KAATが11年の開館当時から続ける「地点」との共同制作第9弾となる本作は、チェーホフが1890年にシベリアを横断してサハリン島まで旅した紀行文「シベリアの旅」のほか、短編小説や手紙を中心に構成した「地点」のオリジナルだ。

 「この旅を経てチェーホフは四大戯曲を書き出した」と語る三浦は「ひたすら東へと向かった彼の他者と出会うバイタリティーが、現代日本の閉塞(へいそく)感を打ち破るエネルギーになれば」と期待を込めた。

 「地点版『罪と罰』」の神奈川公演は20年2月29日午後7時、3月1日午後2時開演。19年12月にチケットを発売する。

 「シベリアへ-」は今月27日~6月2日(29日休演)、7月13~16日。チェーホフ作「三人姉妹」(いずれも三浦が演出)も同4~11日(8日休演)にKAATで上演する。「シベリアへ-」と「三人姉妹」の問い合わせはチケットかながわ☎(0570)015415。


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