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温かさを感じた 映画「長いお別れ」原作者インタビュー

カルチャー 神奈川新聞  2019年05月24日 11:16

認知症は米国で「ロンググッドバイ」と呼ばれていると知り「すごく納得できる言葉だった」と言う中島京子
認知症は米国で「ロンググッドバイ」と呼ばれていると知り「すごく納得できる言葉だった」と言う中島京子

 認知症の父を巡る家族の姿を描いた映画「長いお別れ」=写真=が、31日から全国で上映される。原作は、本紙日曜版に連載中の「日本文学あの名場面」執筆者の一人でもある作家、中島京子(55)の同名小説だ。2013年に86歳で亡くなった父との10年にわたる体験を元にしており、完成した映画を見た中島は「最初のシーンからうるうるした」と言う。

 映画では、認知症を発症し、ゆっくりと記憶を失っていく父(山崎努)と介護する母(松原智恵子)、戸惑いながらも家族として力を尽くす長女(竹内結子)と次女(蒼井優)らの7年間が描かれる。「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督による。

 映画化に当たって、脚本を読んだところ「すごくよかった。読み応えがあって面白いシーンもある。書いていないシーンもあったが小説と映画は違うものなので、どうしたって変えざるを得ない。監督の体の中に一度入って出てきた、と感じた」と中島。

 完成した映画には「その世界がしっかりつくられていて、胸にずきんときた。最初のシーンからうるうるした」という。


©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋
©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋

 「演技の確かな俳優さんばかり。山崎さんを見ていると、父を思い出した。歩き方や表情など認知症の方に特有のところもあり、すごく研究されたんだろうなと。ズボンの短さが絶妙なんです」とほほ笑む。

 「認知症というと、家族はこれから地獄をみるような思いに襲われる。人によっていろいろだが、父には面白さを発見するようなところがあった。変な言葉を流ちょうに話したり、その場その場で上手に対応したり。興味深かったので、小説になるのではないかと思った」

 父はフランス文学者として活躍。「言葉は父の一番大事なものだった。それを失っていく。あの父が、という思いがあり、考えると本当につらい」

 だが、小説では笑えるように、とユーモアをちりばめた。「そう、くりまるなよ」「でも、くりまるよ!」「そうかあ?」と父と娘が意味不明ながらも会話を続ける場面が登場し、とぼけた味わいを醸し出している。映画にも同様の場面がある。

 「認知症になったからといって、全く別人になるわけではない。確かにこれは私のお父さんだ、と感じられる瞬間が、死の間際まであった。私がすごく疲れている時は気遣ってくれているようだし、和やかな雰囲気の時は一緒に笑っているなど、感情は壊れなかった。人間性自体が失われるイメージがあるが、尊厳は保たれている。介護する側もそう思うことで救われる。そこが映画でも丁寧に描かれている」

 監督をはじめ、映画の製作スタッフには、若い人が多かったという。

 「これから見送る世代の方々が、すごく丁寧につくってくださって、日本の未来のためにもいいことなんじゃないか、と温かい感じがした」と喜んでいる。


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