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着眼点がユニークな二つの展示 平塚市美術館で開催

カルチャー 神奈川新聞  2019年05月21日 16:45

「空間に線を引く 彫刻とデッサン展」の会場=平塚市美術館
「空間に線を引く 彫刻とデッサン展」の会場=平塚市美術館

 ユニークな着眼点の展覧会が、平塚市美術館(同市西八幡)で開催中だ。彫刻家によるデッサンに注目した「空間に線を引く-彫刻とデッサン展」と、義理の親子に当たる女性日本画家二人の作品を並べた「荘司(しょうじ)福・荘司貴和子展」だ。両展とも、深い精神性に迫ろうとした創作への熱意が堪能できる。

 「空間に-」では、「彫刻」という概念が日本に入ってきた明治期に生まれ、西洋の技術と東洋の精神性を融合させた日本ならではの彫刻を目指した橋本平八を皮切りに、舟越保武、佐藤忠良、若林奮、舟越桂、棚田康司ら現代彫刻家19人のデッサンと関連する彫刻約280点が並ぶ。
 彫刻家のデッサンは、ゴールの作品が3次元であるため「絵を描く時も、奥行きや質感などが込められているのではないか。世界に一つだけの作品を生み出すことを考えると、ある意味、イリュージョンだ」と同館の土方明司館長代理。
 ハトやカラスを描いた柳原義達のデッサンは、実物以上の生命力に満ちる。舟越保武の息子で、桂の弟に当たる直木のデッサンは、仮面やハート、クモのようなモチーフを通して繊細さと詩情にあふれている。
 土方館長代理は「彫る、こねる、削るといった手作業を行う彫刻では、触覚が創造の原点となる。その触覚をよりどころとする彫刻家が、どのように周囲を感じ取って見ているのかが、最初のデッサンに込められる」と言う。
 デッサンを見ることが、分かりにくく感じられる彫刻の魅力をひもとくヒントになるかもしれない。


手前2点が荘司貴和子、奥は荘司福の作品=平塚市美術館
手前2点が荘司貴和子、奥は荘司福の作品=平塚市美術館

 「荘司-」は、1975年から横浜に居住し、院展を代表する日本画家の一人として活躍した荘司福(1910~2002年)と、福の息子準(ひとし)の妻で抽象的な日本画に取り組んだ貴和子(1939~79年)の作品約50点を展示。腸がんのため39歳で亡くなった貴和子の作品がまとめて紹介されるのは、80年の遺作展以来、関東では初めてだという。

 自然や人間に向き合いながらも、作品の傾向は全く異なる二人。特に貴和子の作品は、60年代の日本美術の傾向を示す抽象画だ。戦争という悲惨な体験をした戦後の世代は、身の回りにある物を肯定的に描く具象を否定。洋画や彫刻だけでなく、日本画でも抽象絵画の波が起こっていた。

 貴和子は東京芸大日本画科で学び、新制作協会日本画部で評価され、後に創画展に出品。神社や月などをモチーフに、象徴的な世界観を描いた。「色を重ねても濁らず、透明感のある表現が素晴らしい」と同館の家田奈穂学芸員は話す。具象への変化が見られる中で亡くなった。

 共にスケッチ旅行にも出掛け、現在の横浜市青葉区の大きな家ではそれぞれのアトリエを持ち、互いの制作には口を出さずに尊重し合ったという。だが、福の作品に特徴的な黒色が、貴和子の作品に表れるなどの影響がうかがえる。
 貴和子の没年の院展に出品された福の「黄(おう)」は、中国の広大な大地を前に襲われたむなしさを描く。呼応を感じながら会場を巡るのも二人展ならではだ。

 ※どちらも6月9日まで。月曜休館。「空間に-」は一般400円、高校・大学生200円。「荘司-」は一般800円、高校・大学生500円。問い合わせは同館☎0463(35)2111。


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