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川崎市高津区のチョーク工場勤務
知的障害の本田さん「働く幸せ」語る 来年度、教科書に

社会 神奈川新聞  2019年05月21日 11:40

真剣な表情で成形作業をする本田さん=川崎市高津区の日本理化学工業
真剣な表情で成形作業をする本田さん=川崎市高津区の日本理化学工業

 知的障害があり、川崎市高津区のチョーク工場に勤務する本田真士さんが来年度の小学生の道徳教科書に採用された。真面目な仕事ぶりや、自分の長所を生かして働く様子、後輩への気配りなどがつづられている。話すことが苦手な本田さんは仕事について「楽しい」と一言だけ述べ、その背中で「働く幸せ」を語っている。

 採用されたのは光文書院(東京都千代田区)が出版する小学校5年生向けの教科書「小学道徳 ゆたかな心」。「働く幸せ-チョーク工場の本田さん-」のタイトルで4ページにわたって収録され、障害の有無にかかわらず、自分の良さを生かして働く姿を取り上げている。

 本田さんの勤める日本理化学工業は1937年設立。ホタテの貝殻などを使った「ダストレスチョーク」や、ガラスなどの滑らかな面に描けて水拭きできる筆記具「キットパス」の製造販売を手掛ける。60年から障害者雇用に取り組み、5月現在、社員は86人で63人が知的障害者、うち26人に重度の障害があるという。

 本田さんは20年ほど前に入社。チョークの製作工程などを経験し、現在はキットパスの成形工程を担当する職場ではリーダー的存在だ。同社の大山隆久社長は「言葉で引っ張るのではなく、働く姿で見せるタイプ。できる仕事を全力でやってくれるリーダー」と全幅の信頼を寄せている。


本田さんを取り上げた教科書「小学道徳 ゆたかな心」
本田さんを取り上げた教科書「小学道徳 ゆたかな心」

 光文書院では一昨年の秋ごろから教材の選定を始めた。編集作業に携わる教員らと協議を重ねた結果、チョークは児童にも身近な素材であることや、児童にも分かりやすいテーマであること、本田さんの仕事ぶりなどから日本理化学工業に協力を打診し、取り上げることを決めた。

 同社は「級友と意見交換をする中で、働く意義を考えてほしい」としており、編集に携わった大河内真裕さんも「労働への価値観は多様化しているが、単にお金を稼ぐ手段ではなく働く喜びを感じ取ってほしい」と期待を寄せている。

 採用を受け、大山社長は「次世代を担う小学生にフラットなものの見方をしてもらえたらうれしい。いい世の中をつくってもらう一助になれば」と目を細めている。


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