1. ホーム
  2. 減災
  3. 【減災新聞】日向灘M6.3 南海トラフ「直結せず」

【減災新聞】日向灘M6.3 南海トラフ「直結せず」

減災 神奈川新聞  2019年05月19日 09:54

 宮崎沖の日向灘で10日朝にあったマグニチュード(M)6・3の地震は、最大でM9が警戒される南海トラフ巨大地震の想定震源域内で起きた。こうしたケースが巨大地震の引き金になる恐れもあるため、気象庁が臨時の警戒情報を発表し、有識者が見通しを分析する防災の仕組みが運用されているが、今回は対象にならなかった。「発生した地震の規模が基準に満たなかったため」と同庁は説明する。

「定例」のみ


日向灘の地震と南海トラフ巨大地震の関連について見解を述べる平田会長(中央)ら=13日、気象庁
日向灘の地震と南海トラフ巨大地震の関連について見解を述べる平田会長(中央)ら=13日、気象庁

 「現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」

 13日夕、気象庁で開かれた「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」終了後の記者会見。中村浩二・地震予知情報課長は、10日に起きた地震が巨大地震には直結しないとの見解を示した。

 静岡・駿河湾から紀伊半島沖、四国沖、日向灘へと延びる広大な南海トラフ。M8~9の巨大地震が見込まれているこの海域で異常な現象が検知された場合、まずは巨大地震との関連について調査することを意味する「臨時情報」が発表され、臨時の評価検討会が招集される。

 しかし、13日の検討会は毎月1回開かれる定例の会合で、日向灘の地震を受けたものではない。この地震との関連も議論されたが、中村課長は「(臨時情報の発表基準は)M6・8程度以上とされている。それに比べると今回のM6・3はかなり小さく、基準を心配しないといけない状況ではない」と説明した。会見で公表した見解は、これまで毎月発表されていたものと同じ「定例情報」だ。

 評価検討会の会長を務める平田直・東大地震研究所教授も、特段の影響はないとの見方を重ねて示した。「日向灘では、これまでもM6程度の地震が時々発生している。最大震度は5弱だったので強い揺れに驚いた人もいたと思うが、このぐらいの地震では、プレートの固着状態への影響は大きくない」

 気象庁によると、今回の震源付近では、1941年にM7・2、61年にM7・0、68年にM7・5、84年にM7・1、96年にM6・9、M6・7と、M7前後も含め地震が多く発生してきた。これらの大地震も、M8級以上の巨大地震の引き金にはなっていない。

対応不安も

 しかし、直近のM8級である1944年の昭和東南海地震、46年の昭和南海地震から70年余りが経過。政府・地震調査委員会はこれまでの発生履歴を踏まえ、南海トラフ巨大地震の平均的な繰り返しの間隔を88・2年と評価しており、同地震の今後30年以内の発生確率は70~80%と高い。

 こうした状況も背景に、南海トラフ地震の警戒情報は2017年11月から運用が始まった。それまで約40年にわたって取り組んできたものの、実現できないとの判断から運用されなくなった東海地震の直前予知に代わる情報だ。

 予知を目指していた当時は、静岡・駿河湾で切迫していると考えられていた東海地震に対象を限定していたが、現在は西日本の海域を含めた南海トラフ全体に監視の範囲を広げている。

 その広範な想定震源域で(1)M6・8程度以上の地震(2)通常とは異なるゆっくりとした滑り-が検知されると、気象庁は調査開始の臨時情報を発表。発生した地震がM8以上の場合(半割れケース)では巨大地震の連動に警戒を促す臨時情報を出し、M7以上の時(一部割れケース)などは後発の巨大地震への注意を呼び掛ける。

 その際、「南海トラフ地震防災対策推進地域」=自助のヒント参照=に指定されている1都2府26県の計707市町村では、自治体や企業、住民らがリスクや状況に応じた防災対応を取ることが求められている。半割れケースの時は、津波からの避難が間に合わない沿岸部で事前の避難などが講じられる見通しだ。

 ただ、具体的な防災対応を示した国のガイドラインは今年3月に公表されたばかり。自治体や企業などの計画づくりはこれからのため、当面の対応に不安を残している。

自助のヒント 南海トラフ対策地域
 全国29都府県の707市町村が指定されている「南海トラフ地震防災対策推進地域」は、同地震で(1)震度6弱以上が見込まれる(2)津波高3メートル以上で海岸堤防が低い(3)過去の被災状況-などが指定基準。神奈川県は、横浜、横須賀、平塚、鎌倉、藤沢、小田原、茅ケ崎、逗子、三浦、秦野、厚木、伊勢原、海老名、座間、南足柄、葉山、寒川、大磯、二宮、中井、大井、松田、山北、開成、箱根、真鶴、湯河原の27市町が該当する。相模湾沿岸の13市町は「南海トラフ地震津波難対策特別強化地域」にも指定されている。


シェアする