1. ホーム
  2. 話題
  3. D52雄姿、次代へ 平塚でファンら“化粧直し”

D52雄姿、次代へ 平塚でファンら“化粧直し”

話題 神奈川新聞  2019年05月19日 05:00

平塚にやって来て50年を迎え、鉄道ファンらによって「お色直し」される「D52 蒸気機関車」=平塚市浅間町の市文化公園
平塚にやって来て50年を迎え、鉄道ファンらによって「お色直し」される「D52 蒸気機関車」=平塚市浅間町の市文化公園

 かつて旧国鉄御殿場線を走り、現在は平塚市浅間町の市文化公園で保存されている「D52 蒸気機関車」のかつての雄姿を取り戻そうと、鉄道ファンらが“化粧直し”の作業に汗をかいた。「デゴニ」の愛称で親しまれ、引退後に平塚にやって来て50年。「ずっと残していきたい。いつか走る姿を見られたら-」。親子2代にわたりデゴニを愛した鉄道ファンの男性が思いをはせている。

 デゴニは太平洋戦争末期に製造され、1960年から勾配の激しい御殿場線で乗客を運び続けた。しかし、同線の電化に伴い廃車される運命だったのを、地元の鉄道ファンらの働き掛けで69年、平塚市に貸与されることになった。

 現在は市博物館に隣接した公園の一角にたたずむ。長らく手入れもされず、車体の傷みも激しい。今月10日から鉄道ファンやJR平塚駅の駅員ら十数人で修復作業をスタート。まずは浮き上がった塗装を金属のへらではぎ取り、上からペンキを塗り直した。ペンキは地元の塗装工場が特別に調合し、寄付した。

 「SL(蒸気機関車)には人間くささがある。人間みたいに息を吐いて、頑張って走っている」。鉄道ファンの大津誠さん(60)=同市=は4年前に亡くなった父・昇さんの言葉を思い出しながら作業に汗をかいていた。

 昇さんは名の知れた鉄道ファンで自宅には所狭しと鉄道模型のレールが敷かれた。誠さんが小学生の時、デゴニを描く地元の子ども向けの写生会に連れて行ってもらった。「こんなもの描いてもつまらない」。当時は父に反発もした。

 昇さんは90年ごろにミニSLを購入し、地元のイベントで子どもたちを乗せた。誠さんも40代から父を手伝うようになり、昇さんが亡くなってからもその活動を引き継いだ。「子どもたちが笑顔になってくれている。途絶えさせてはいけない」。親子2代で活動は約30年。現在も年に十数回、市内のイベントで子どもたちを乗せている。

 誠さんが子どものころに初めてデゴニと出合った写生会は現在も続き、今年7月で第50回を迎える。世代を超え、デゴニは平塚のシンボルでもある。

 少人数による3日間の作業は12日に終了した。「まだ3割ぐらい、スタートラインに立っただけ」と汗をかいた鉄道ファンの男性。今後も作業を検討していくという。全国で7台しか残されていないうちの1台。誠さんは「よく平塚に来てくれた。せめて走っていたころの姿を取り戻せたら」との思いを抱いている。


D52 蒸気機関車 太平洋戦争末期に量産されたD51を基礎に戦後、自動給炭機を取り付けるなどの改良がされた。片側四つの動輪で駆動し、炭水車を含めた全長は21メートル、全高4メートル、重量は142トンに及ぶ。県内では平塚市のほか、相模原市と山北町で保存されている。


シェアする