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関東大陸上部指導者に中距離元日本女王 箱根の舞台へ再び

スポーツ 神奈川新聞  2019年05月14日 11:06

 関東学院大陸上競技部の指導陣に今春から、女子中距離の日本選手権優勝経験を持つ岸川朱里コーチ(33)が加わった。大学男子駅伝チームを女性コーチが教えるのは、全国的にも極めて異例という。2004年を最後に遠ざかる箱根駅伝の舞台に返り咲くため、選手の意識改革から取り組み始めている。

選手の意識改革から着手


培った経験と知識を生かし、選手育成に情熱を燃やす岸川コーチ(右)=横浜市金沢区の関東学院大「横浜・金沢文庫キャンパス」
培った経験と知識を生かし、選手育成に情熱を燃やす岸川コーチ(右)=横浜市金沢区の関東学院大「横浜・金沢文庫キャンパス」

 昨年11月。岸川コーチは現役時代に指導を受けてきた旧知の仲で、現在は関東大で選手のスカウトなどに携わる上野敬裕ゼネラルマネジャー(GM)から誘われた。「箱根駅伝や長距離は無縁だったので、どういう関わり方ができるだろう」と少し戸惑ったが、新たな挑戦に飛び込んだ。

 新栄高から日体大、実業団に進み、10年から日本選手権女子800メートルを連覇したトップアスリートだ。現役を退いた16年以降は指導者を夢見て「現場に携わりたい」とフリーランスの立場で陸上教室やアスリートの就職支援などに取り組んできた。神奈川陸協強化委員としても、国体や全国都道府県対抗女子駅伝の神奈川代表チームをサポートするなど活動の場を広げてきた。

 関東大には4月に着任。部員の第一印象は「とても素直な学生が多いけれど、私から見たら正しい動きをしていない。何を意図してやっているのかという子が多かった」と振り返る。チームにけが人が多かったのも悩みの種で、岸川コーチが主に担当する1、2年生の育成については「走る距離をすぐ伸ばしていくと故障するリスクがある。土台づくりのために1500メートル、5000メートルなど短い距離をしっかり走ってから、というビジョンを持っている」。

 指導者としてはまだ若いが、確かな素養を備える。17年には海外でも指導できる国際陸上競技連盟CECSレベル1コーチ資格を「教えるときに知識がないと、私自身が怖いので」と取得。「アスリートはいつもストレスを抱えたりするので、聞き役になれたら」と現役時代の自らの経験を元に、メンタル心理カウンセラーの資格も取った。説得力のある技術・精神論で選手を支えられるよう見識を広めてきた。

 早速、チームでは選手の意識改革にも着手している。例えば、ウオームアップでも以前は決まったメニューを黙々とこなすことが多かったというが、「選手に考えてほしいから」と状況に応じて個々に任せることもある。コンディショニングづくりに欠かせない食事も軽んじることなく「『練習が終わったらすぐ食事』というサイクルをつくりたい」とチームに規律をもたらした。

 「周りに男性が多いとか、そういうことは全く気にしない」と笑う。気さくで明るく、厳しさも忘れない岸川コーチに進んで教えを求める選手が増えてきたという。1998年の箱根駅伝で9区を走った中川禎毅監督は「トップアスリートならではの教え方がある。選手も話し掛けやすいのでは」と期待を寄せる。

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