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登山中の落雷回避、難しさ浮き彫りに 丹沢・死亡事故

社会 神奈川新聞  2019年05月14日 11:27

 丹沢山地の鍋割山(標高1272・5メートル)で4日、男性が雷に打たれて死亡した事故は、登山中の落雷回避の難しさを浮き彫りにした。県内ではこの日、寒気を伴った気圧の谷が通過する際に天候が急変し、雷が集中的に発生した。専門家は「こうした現象は珍しくない。逃げ込む建物がない山間部では特に注意を」と呼び掛ける。


落雷(イメージ)
落雷(イメージ)

樹木から放電可能性も

 松田署によると、亡くなった千葉市の男性会社員(45)は山頂から南へ約640メートル離れた登山道脇の樹木付近に倒れていた。

 発見した別の登山客が4日午後1時半ごろに119番通報。署員らが約3時間半後に到着した際、男性は心肺停止の状態だった。やけどを負っており、雷撃死と診断された。男性は金属製のステッキを持っていたという。

 一緒に登っていた友人は少し離れた場所にいたため無事だった。落雷の瞬間を目撃しておらず、詳しい状況は分かっていないが、雷は周囲より高い所に落ちやすいという特徴がある。

 湘南工科大の成田知巳教授(電力工学)は「木のそばに倒れていたという状況から、雷の直撃を受けたというよりは、(落雷を受けた近くの樹木から放電される)側撃雷だったのではないか」と分析。その一方で「地面やステッキに落雷した可能性もある」とし、回避の難しさを指摘する。

 4日は県内全域に雷注意報が出されていた。独自の観測網で落雷をキャッチしている成田教授が公開したデータによると、同日午後1時半ごろから県西部や静岡などで次々と発生。落雷の中心が海上に移った同日午後7時ごろまで県内各地で落雷があり、東京や埼玉などでも捉えられた。横浜地方気象台は午後4時すぎに気象情報を発表し、雷雨への注意をさらに促した。

 成田教授は「落雷は夏に多いが、春や秋は前線などに伴って今回のように広い範囲で落雷が起きることがある」と注意喚起。避難行動については「鉄筋コンクリート造の建物に逃げ込むのが最も有効」とするが、「登山中は適した場所がないため、天気予報などで落雷の危険性を把握した場合は、山行を見合わせた方が望ましい」としている。

 落雷による人的被害の実態は、詳しく分かっていない。県内では2005年7月、藤沢市内の公園で2人が死亡。14年6月には横浜市泉区の公園で、落雷で感電したとみられる2人が負傷した。県は「少なくとも過去5年間は死者は出ていない」と説明。成田教授は過去の集計を踏まえ、「全国的には年に数人が亡くなっている」とみる。


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