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創造性にあふれたデザインの世界 ポーランド・ポスター展

カルチャー 神奈川新聞  2019年05月10日 19:59

多様なデザインのポスターに見入る来場者
多様なデザインのポスターに見入る来場者

 日本とポーランドの国交樹立100周年を記念し、ポーランドで制作されたポスター176点を紹介する「ポーランド・ポスター展」が、県立近代美術館葉山(葉山町一色)で開催中だ。ポーランドを代表するグラフィックデザイナー14人が手掛けた創造性あふれるデザインを堪能できる。

 同館では1975年と80年に旧鎌倉館で、ポーランドのポスターを紹介する展覧会を開き、ポーランド政府から290点を寄贈された。ワルシャワ郊外にある世界初のポスター美術館が所蔵していない作品も含まれており、ほとんど秘蔵されてきたので、極めて状態がいいという。

 50年代後半から70年代にかけて、ワルシャワ美術アカデミーで指導したユゼフ・ムロシュチャクとヘンリク・トマシェフスキやその教え子によって制作された映画、演劇、音楽、サーカスなどのポスターは「ポーランド派ポスター」と呼ばれる。

 ポーランド派ポスターの特色は、色鮮やかで多様なデザインにある。トマシェフスキによる「ヘンリー・ムーア作品展覧会」のポスターは、青地の中央に大きく「MOORE」の文字がデザインされている。主催者名などの情報は上部に小さく書かれているが、青地に埋没していて、ほとんど見えない。

 多くのデザイナーが手掛けているサーカス公演のポスターには、開催日時や料金などが、全く書かれていない。これは、社会主義国家であることが深く影響している。

 当時のポーランド人民共和国では、共産主義の統一労働者党による一党独裁政治が行われていた。経済的には低迷していたが、商業主義にとらわれず、ある程度は自由な表現が認められていた。

 公演の場所や日時に関しては、共有認識があるものとして、余計な文字を入れる制約に縛られず、デザインを優先できたという。


ずらりと並んだポーランド派ポスター
ずらりと並んだポーランド派ポスター

 同館で普及課長を務める籾山昌夫学芸員は「社会主義国なので、物を売るために必要な要素に縛られなかった。映画のポスターも、有名俳優の顔写真を入れることなく、グラフィックデザイナー自身の解釈による表現ができた」と話した。

 マチェイ・ウルバニェツによるオペラ「婚礼」のポスターは、絡まったロープで結婚によって絡み合う人生を表現。モナリザをパロディーにしたサーカスのポスターも手掛けており、一人のデザイナーの中にも多様な作風が見られる。

 籾山学芸員は「私たちが日々見ているのは、制約のある中で作られたポスターだ。違うポスターの世界があることを見てほしい」と来場を呼び掛けた。

 6月23日まで。5月6日を除く月曜休館。一般千円、20歳未満と学生850円、65歳以上500円、高校生100円。コレクション展「彫刻のある風景」も観覧可。問い合わせは同館電話046(875)2800。


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