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19世紀のフランスに触れる 「印象派、記憶への旅」展

カルチャー 神奈川新聞  2019年05月10日 19:09

水辺を描いたモネの風景画が並ぶ一角
水辺を描いたモネの風景画が並ぶ一角

 フランス印象派の風景画を中心にモネやゴッホ、ピカソ、マチスなどの名品を紹介する「印象派、記憶への旅」展が、箱根町のポーラ美術館(以下ポーラ)で開催中だ。広島市のひろしま美術館(以下ひろしま)との共同企画で、両館の所蔵品から選ばれた73点を通して、19世紀フランスの風景や街の記憶に触れることができる。

 ひろしまは1978年11月に開館。創業100年を迎えた広島銀行が、地域と共に歩んだ歴史の記念事業として創立した。被爆地として平和への祈りと市民の復興が込められており、コレクションにも安らぎが感じられる、美しいものが多いという。

 ポーラの近藤萌絵学芸員は「両館のコレクションは成り立ちの時期がほぼ同じで、明るい色彩という傾向も似ている」と話す。同じテーマも多く、複数を並べることでより深い理解が得られると説く。

 例えば、ピカソの「青の時代」と呼ばれる時期の作品では、「海辺の母子像」(ポーラ)と「酒場の二人の女」(ひろしま)を並べると、ピカソが多様な悲しみを表現していたことが分かる。「海辺の-」は悲しみの中にも海辺の清澄さが漂い、「酒場の-」は背中を向けた女性たちのいかにもつらそうな姿が際立つ。

 作品自体を記憶のこもった記録物と捉え、ポーラが所蔵するゴッホ作品について詳細な光学調査を行い、記憶をたどった結果も展示している。


アクリルケースに入れて展示しているゴッホの「草むら」
アクリルケースに入れて展示しているゴッホの「草むら」

 「草むら」は草の茂みをクローズアップで、力強く描いた作品だが、珍しく補修のための裏打ちがされていない。キャンバスの裏側に別の作品からの絵の具が付着していたことと、ゴッホ自身によるかもしれない署名があったためだ。このような裏打ちされていない作品は極めて貴重だという。

 絵の具が乾いていない別の絵を重ねたために付着したと考えられる絵の具は、タンポポの花を思わせる黄色と緑色。よく似た色彩の別作品との一致を試みたが、決定的な証拠は得られなかった。

 会場では「草むら」を透明なアクリルケースに入れて展示しており、こうした絵の裏側も見ることができる。額の裏に書き込まれた文字の解説もあり、ゴッホの手を離れてからの来し方をたどることができる。

 7月28日まで。一般1800円、65歳以上1600円、高校・大学生1300円、小中学生700円(土曜無料)。問い合わせは同館電話0460(84)2111。


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