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西湘海岸、砂浜再生へ 難工事、2020年度以降本格化

社会 神奈川新聞  2019年05月07日 05:00

西湘海岸保全対策事業
西湘海岸保全対策事業

 2007年の台風で砂浜が失われるなど侵食被害が著しい二宮町の西湘海岸で、砂浜の回復に向けた保全対策事業が20年度以降に本格化する。潜水型の突堤整備と、大量の砂を運び込む養浜(ようひん)を組み合わせる国内でも例のない手法だ。現場に高波の被災リスクがある台風シーズンは工事できず、完了時期は定まっていないが、国土交通省京浜河川事務所は「早く完成をという地元の声も踏まえ、整備効果を見極めながら進めたい」としている。

 事業が実施されているのは、西湘バイパス西湘二宮インターチェンジ(IC)付近を中心とした約13キロの区間。07年9月の台風9号の高波により推定40万立方メートル余りもの砂が一晩で流失し、奥行き30メートルほどの砂浜が失われた。

 被災を受け、国交省は14年度から直轄事業として砂浜の復元に向けた対策に着手。日頃は砂に隠れた状態となる潜水型突堤(長さ50メートル、幅15メートル)6基を波打ち際に約600メートル間隔で整備し、その間を埋めるように養浜(36万立方メートル)を実施する手法を決定した。

 総事業費は約180億円に上る見込みで、20年度以降に突堤本体の工事に入る見通しとなった。現場へのアクセスが難しいため、西湘バイパスに取り付ける工事車両用の連絡路を19年度中に完成させる方針だ。

 事業では、相模湾内に入り込んでいる相模トラフが形成する海底谷への砂の流失を抑制する施設も計画。西側の国府津IC付近が予定地だが、「整備には漁業者との調整が必要。現時点で詳細は固まっていない」としている。

 京浜河川事務所や県によると、小田原市から大磯町にかけての西湘海岸の砂浜は、酒匂川から運ばれる土砂で形成されてきた。しかし、高度成長期に行われた川砂利の採取やダムの建設などで供給土砂が減り、1985年時点では、戦後間もない47年当時より最大で35メートルほど海岸線が後退していた。

 砂浜は、地域の貴重な観光資源となっているだけでなく、波の威力を減衰させて陸地を守る役割があるとされる。

 07年の台風は、この防護機能が低下した中で襲来。繰り返し打ち寄せた高波で西湘バイパスは約1キロにわたって擁壁が崩落し、路面も損傷した。17年の台風21号でも大磯西IC付近が被害を受け、現在も復旧工事が続いている。

 砂浜の侵食は全国で相次いでおり、地球温暖化も背景に海辺の被災リスクは高まっている。県内では、17年や18年の台風で三浦、鎌倉、藤沢、小田原市なども高波や高潮の被害に見舞われた。


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