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酒と涙と男と天ぷら(5)
春、旬、瞬 青春のほろ苦さを堪能

話題 神奈川新聞  2019年06月28日 01:33

 めしべを求めて舞い踊るおしべの花粉に刺激され、目鼻の潤む季節になりました。この時期は春の風に乗り、たくさんの山菜が運ばれてきます。フキノトウ、タラの芽、山ウド、コシアブラ、コゴミ、ササタケノコ。まだまだありますが、こうして並べてみるだけで心うきうき、口中によだれがあふれます。

 春の香りに誘われて浮かれ、ヘラヘラしながら、涙と鼻水おまけによだれを垂らして歩く人が多くなるのも、この季節の特徴です。今のところコレといった予防法はありませんが、この症状にかかったら、涙と鼻水をふいてから山菜を山ほど食べてください。一時的ですが、幸福感に浸れます。

 山菜には雪の中から立ち上がる時に発する力強い香りと、まだ青い青春のほろ苦さを感じます。旬の香りとほろ苦さを楽しめるのは、四季のはっきりした日本ならではの楽しみです。日本料理は奥が深いですよね。

 手前みそですが、山菜には、天ぷらが一番合うと思います。ウチでは新潟の飯塚農場のスタッフの皆さんがまだ雪の残る山に入って、摘んできてくれます。

 山菜は香り、色、独特のほろ苦さを残すために、少々低温(一七五度ぐらい)でサッと揚げます。衣は透き通るような「天女の羽衣」が目安です。香り立つ、色あでやかな取れたての山菜が、薄衣をまとって登場。

 どーです? 色っぽいでしょ。そんなに興奮しないでください。中年オヤジとしてはまず、香りと色を堪能してから、軽くかみつきましょう。ホクッとした食感、そして淡い苦味が口中に広がります。こうなればコチラのもの。この瞬間を逃さず、冷えた辛口の白ワインか冷酒をグイッと飲めば、春の息吹はあなたのものです。いただきまーす。

 もうひとつ春になると、本格的なキャンプシーズンに突入しますよね。私も年二回、春と秋にバーバリアンクラブの仲間と丹沢や箱根へキャンプに行きます。子供たちにオヤジがいないと生きていけないことを思い知らせるのが目的でしたが、ウチの息子はオヤジ抜きでも生きていける確信を持ったようです。

 最近は子供も大きくなり、一緒に遊んでくれなくなりました。そうなると女房も付いてきません。今では移動式屋外居酒屋(屋台じゃん!)常連の会となり、現地に到着するとテントの設営もそこそこに、酒とつまみの用意、そして電源の確保が最優先事項となりました。寒い夜には電気毛布が欠かせないからです。

 皆さん! キャンプ場に迷惑が掛かるので、くれぐれもこのような自然をなめたマネはやめましょう。羽衣ならぬ究極の厚衣、電気毛布にくるまった寂しがりやの中年オヤジたちが満天の星空の下、それぞれ天女の夢を見られますように。

(2004.4.4)



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