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酒と涙と男と天ぷら(2)
テンプラニーリョ 横浜なら、なお良し

話題 神奈川新聞  2019年06月28日 01:27

 その日は朝から天ぷら日和でした。旅先でロマネコンティにしてやられた自称ワイン通が理想の赤ワインを探すため、ソムリエの君嶋さんに助けを求めた十年ほど前の春のことです。

 天ぷら日和って分かります? 湿度が低くてカラッとした天ぷらが揚がる日のことです。君嶋さんはワインを三十本も持ってきてくれました。迎えるは私と自称ワイン通のスギちゃん。自信満々? の二人の前にずらっと並ぶワインたち、ワインレッドの誘惑―。

 まずはテイスティング。初めのうちはアロマだ、渋みだなんぞと通ぶって選んでましたが、なんか幸せな気分になってきて、みんなオイシクなっちゃって、それでも準々決勝八種が残りました。私とスギちゃんはすでに出来上がっていて、おやじギャグ連発状態でしたが、さすがソムリエ、最後に締めてくれました。

 「これ、天ぷらにイーよ」。えっ、どれどれ? これが酔いどれインチキワイン通とテンプラニーリョとの出会いでした。スペインのリオハ地方の赤ワイン。もともとはフランスのビノ・ノワール系の品種らしいのですが、昔フランスが冷害にやられたとき、品種改良したものがスペインにやってきたそうです。スペイン語のテンペラトゥラとニ-ニョの合体で、「寒さ(温度)に強い男の子」だそうです。これはうちに来た“アヤシイ”外国人が言っていたので、責任持てません。でも、ぜったいテンプラってラテン語系ですよね。

 ソムリエいわく、「天ぷらには基本的に魚介類の素材を生かす白ワインが合うのですが、たるで熟成したテンプラニーリョはごま油など香り高い油で揚げたカラッとした天ぷらには良く合います。タレで食べてもおもしろいですね。このワインは特にキリッとした切れとサラッとした舌ざわりが天ぷらを引き立てるのです」だそーです。納得でしょ。

 まずはテンプラニーリョを一口、キリッ、天ぷらをカリッ、ワインがサラッ、天ぷらがサクッ、そして思わずホッペがデレッと落ちる。キリカリサラサクデレ、これを「食の喜び循環の法則」と言います。

 ちなみに、先輩のプライスター社長宮川さんが先日スペインに行ってきて、あることに気付きました。あちらではテンプラニーリョはテンプラニイージャンと発音するそうです。たったら、なおさら横浜向きのワインですよね。だって、テンプラにイーじゃん。

(2004.1.6)



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