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火口観光 阿蘇の苦悩 噴火警戒 大涌谷再開(上)

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神奈川新聞  2005年11月27日公開  

噴火の影響で天井の一部が壊れた阿蘇山ロープウェーの駅舎。奥側の火口間近の駅舎へのワイヤは外されている=18日
噴火の影響で天井の一部が壊れた阿蘇山ロープウェーの駅舎。奥側の火口間近の駅舎へのワイヤは外されている=18日

 涼風が吹き抜ける斜面に塗装のはがれた鉄塔が点在していた。それらをつないでいたワイヤは消え、大勢の観光客を運んだゴンドラが動くこともない。

 高低差108メートル、長さ900メートルをつなぐ「阿蘇山ロープウェー」(熊本県阿蘇市)。かつて年間40万もの人が利用した4分間の「火山遊泳」は、目玉である火口見学には手軽なルートだった。

 しかし阿蘇山では昨年10月、爆発的噴火があり、火口間近の駅舎は損壊した。防護壁で覆い、コンクリート製の二重屋根にしていたが、飛散した噴石で大きな穴がいくつも開いた。運行系統の機器も損傷し、営業再開に踏み出せないまま、“生命線”のロープはこの4月に外された。

 「世界で初めて活火山に架けられたロープウェー」をうたい、来年4月で開業60年の節目を迎えるが、運行会社の九州産交ツーリズムの三原清孝さんは率直に明かす。「ロープウェーをやめる可能性もゼロではない」

 阿蘇山は活発な活動を続ける活火山だが、箱根山(箱根町)の大涌谷に通じる環境があり、火口観光と噴火対応の在り方において学ぶべき点が多い。

 気象庁が阿蘇山で運用する5段階の噴火警戒レベルは2014年8月以降、2(火口周辺規制)と3(入山規制)を繰り返し、レベル2でも規制範囲にかかるロープウェーは運休を余儀なくされた。この間、火山活動の影響で設備の保守点検ができなかったため、数トンもの重りで伸長されたロープが切れ、施設がさらに損傷する恐れがあった。

 阿蘇市が来年早々を目標として火口見学再開への環境整備を進める中、同社は代行バスを走らせる代案も検討する。「ロープウェーを再開するなら駅舎を建て替えなければならず、より頑丈な構造にする必要もある。しかし、そうした対策を講じたとしても、いつになれば採算が取れるのか。そもそも観光客は戻ってくるのか」。噴火警戒レベルは今年2月に最低の1(活火山であることに留意)に下がったものの、火口周辺は噴石や火山灰の影響が大きく、立ち入り規制は今なお解除されていない。


 箱根山・大涌谷の立ち入り規制が一部解除されて26日で1年。火山活動の“終息宣言”が出されず、全面開放がなお見通せない中で続く模索と課題を追った。

◆阿蘇山の爆発的噴火 2016年10月8日午前1時46分ごろ、阿蘇山・中岳(標高1506メートル)で発生。爆発的噴火は1980年1月以来で、噴煙は高さ1万1千メートルに達した。噴火警戒レベルは3(入山規制)に引き上げられた。大分、愛媛、香川各県でも降灰が確認され、熊本県阿蘇市では噴石でビニールハウスや車庫などが損壊したほか、停電や断水も起きた。阿蘇山は歴史的に噴火が多く、2016年4月の熊本地震直後にも小規模な噴火が発生している。


阿蘇山ロープウェーと並び、火口への主要ルートの有料道路も通行止めとなっている=18日
阿蘇山ロープウェーと並び、火口への主要ルートの有料道路も通行止めとなっている=18日

「防災の視点 発信を」


 火山の恩恵を生かした観光や産業につきまとう「継続」の壁。昨年4月の熊本地震の被害も重なり、かつてない苦境に陥った阿蘇山ロープウェーに代表される阿蘇山(熊本県)の今は、同じように手軽に火口見学を楽しめる環境の箱根山(箱根町)の大涌谷が抱えるリスクを浮き彫りにする。

 両火山に共通した利点である

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