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時代の正体〈500〉原発事故考 今なお続く緊急事態

時代の正体 神奈川新聞  2017年07月23日 12:05

元京都大原子炉実験所助教
小出裕章さんに聞く


東京電力福島第1原発3号機の格納容器内調査で、水中ロボットが撮影した原子炉圧力容器底部の様子。東電は3号機の原子炉圧力容器直下の状況について、これまでの調査で状況が明らかになっている2号機と比べて「明らかに損傷が激しい」と説明した=19日(国際廃炉研究開発機構提供)
東京電力福島第1原発3号機の格納容器内調査で、水中ロボットが撮影した原子炉圧力容器底部の様子。東電は3号機の原子炉圧力容器直下の状況について、これまでの調査で状況が明らかになっている2号機と比べて「明らかに損傷が激しい」と説明した=19日(国際廃炉研究開発機構提供)

 2011年3月11日に政府が発出した「原子力緊急事態宣言」は現在も解除されていない。東京電力福島第1原発事故から23日で2326日。日本は今も緊急事態下にある。この事態をどう捉えたらいいのか。先月、鎌倉市内で講演した元京都大原子炉実験所助教の小出裕章さん(67)が「事故を経験した者の責任」を語った。


 原発事故から6年4カ月が過ぎました。しかし、事故は今でも進行中です。

 あの日の午後7時3分、政府は原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力緊急事態宣言を発出しました。この宣言は解除されていません。日本は今なお、緊急事態下に置かれ、危機はまだ続いているのです。

 事故後、政府は国際原子力機関(IAEA)に報告書を出しました。事故でどれくらいの放射性物質が大気中に出たか。報告書には、それがセシウム137の数値で書き込まれている。原発に使われるウランが核分裂すると、後におよそ200種類の核分裂生成物(放射性核種)ができますが、人間に一番危害を与えるのはセシウム137だと思います。

 では、どれだけのセシウム137が放出されたか。放射能の量を示す単位はベクレルです。日本政府の報告では(核燃料が溶け落ちた)福島原発1~3号機を合わせると「1・5×10の16乗ベクレル」としている。全くピンとこないと思います。

 広島原爆では、セシウム137の総量は「8・9×10の13乗ベクレル」でした。福島の事故では、大気中だけで広島原爆168発分の放射能を放出したことになります。

汚染


 私は、15年3月まで京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)で原子炉を動かしながら、さまざまな放射性物質を作り出し、実験、研究していました。原子炉を人の住む場所に造ってはいけないため、約10万坪(33ヘクタール)の広大な土地を購入し、原子炉を建てました。


「未来の子どもたちのため、原子力利用から抜け出すべき」と語る小出さん=6月、鎌倉市
「未来の子どもたちのため、原子力利用から抜け出すべき」と語る小出さん=6月、鎌倉市

 放射性物質を取り扱って実験できるのは、実験所の敷地内でも非常に限られた場所です。そういう場所を放射線管理区域と言い、私のように放射性物質を取り扱う放射線業務従事者だけが立ち入りを許されます。

 管理区域内では飲食や睡眠、排せつはできません。人間が生きることはできない。放射線障害防止法は、1平方メートル当たり4万ベクレルを超える汚染の恐れがあると、その区域を管理区域に指定します。同区域への出入りや線量管理などには厳格な規制がある。管理区域外にはどんなものも持ち出してはならないし、区域外では汚染物を存在させてはならないのです。

 私は41年間、法令を守り、私自身や一般の人々の被ばくを防ぐため、細心の注意を払って仕事してきました。

 しかし、11年3月11日以降、その基準そのものが変わってしまったのです。

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