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【K-Person】伊藤健太郎さん
「春のめざめ」主演 思春期の葛藤、普遍的

K-Person 神奈川新聞  2019年04月14日 11:54

伊藤健太郎さん


伊藤健太郎さん
伊藤健太郎さん

 2014年の俳優デビュー以来、ドラマに映画に引っ張りだこの21歳。二度目の舞台出演ながら、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で上演中の「春のめざめ」(白井晃演出)で主役を張る。「映像の多くに出演してきた自分にとって、この舞台は大きなチャレンジ」と自らを奮い立たせる。

 ドイツの劇作家フランク・ヴェデキントが19世紀末に手掛けた戯曲が原作。思春期の少年少女の性への目覚め、それに対する大人たちの抑圧が描かれ、センセーショナルな内容から当時は上演禁止の処分を受けた問題作だ。

 KAATでは2年ぶりの再演。主役を含むメインキャストを一部刷新した形だが、「再演という点は意識していない」ときっぱり。「前回とは全く違う『春のめざめ』を創りたい」と力強く語る。


「春のめざめ」のチラシ
「春のめざめ」のチラシ

 演じるのは、ギムナジウム(ドイツの中等教育機関)で学ぶ優等生のメルヒオール。同級生の間で性への関心が高まる中、友人のモーリッツ(栗原類)に「子どものつくり方」を図解付きで教える。彼のそうした行為は不品行と非難され、やがて家や学校から追われる身となる。

 「本能のままに動くという幼稚な部分がたくさんある」と役を解釈する一方で、「大人に対して『何で分かってくれないんだ』と憤る気持ちは10代の自分にもありました」と共感もする。稽古を重ねるにつれて、原作が書かれた130年前と現代も「思春期に感じる葛藤は同じ」と、その普遍性を見いだした。

 性に多感な子どもたちに性教育をするどころか、性的なものを「悪」と見なし、彼ら彼女らの戸惑いや真っすぐな疑問に向き合わない大人が描かれる本作は「子どもがいる親、思春期を通り過ぎた人など、それぞれの立場や世代によって何通りもの感想が生まれると思います」。理想は「思春期ど真ん中の子たち」に違和感のない芝居を届けること。「僕らのせりふに対して自然と共感を示してもらえるくらい、同じ視座に立ちたい」

 初舞台を踏んだ瞬間、ダイレクトに反応を得られる「生」の魅力にすっかり取り付かれた。「人から拍手をもらうって、すごさが半端じゃない。舞台は一つとして同じものがなく、お客さんと共に創り上げる生き物のような存在」

 「役者は見てくれる人がいるからこそ成り立つ。どれだけのものを表現できるか、自分の根っこの部分で常に意識していたい」。人一倍強い芝居への情熱を胸に、きょうも舞台に立つ。

いとう・けんたろう 俳優。1997年生まれ、東京都出身。2014年、ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(フジテレビ)で役者デビュー。主な出演作は、映画「俺物語!!」「ミュージアム」「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」「先生!、、、好きになってもいいですか?」「デメキン」「コーヒーが冷めないうちに」「ういらぶ。」、ドラマ「学校のカイダン」「仰げば尊し」「レンタルの恋」「アシガール」「今日から俺は!!」「この恋はツミなのか!?」など。19年秋公開の映画「惡の華」では主演を務める。第42回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。舞台「春のめざめ」はKAAT大スタジオで29日まで。16、23日は休演。一般6500円ほか。前売り券は完売。当日券は各公演日の前日に電話受付を実施。詳細はKAATホームページで。

記者の一言
 思春期の若者が抱える苦悩や大人への反発。「性的な面が注目されやすい作品だけど、そうした深い心情にも気付いてもらえたら」と伊藤さん。実直な話しぶりから、芝居に対して真摯(しんし)な姿がうかがえた。

 出身は東京。横浜での思い出を尋ねると、「中華街に結構行きましたよ」との回答。「めちゃくちゃ当たる占い師」に占ってもらったところ「NHKでいい仕事が来ます」と具体的な予言が。何とその直後に、同局のドラマ「アシガール」の出演が決まったそうだ。同じ占い師に海外行きも予想されたことから「わくわくしています」と、ちゃめっ気たっぷりに声を弾ませた伊藤さん。ぜひ実現させてほしい。


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