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【シネマ散歩】
【ビューティフル・ボーイ】全てを超えた父の愛

カルチャー 神奈川新聞  2019年04月08日 16:27


 12日からTOHOシネマズ川崎などで上映。薬物依存を扱った映画はあまたあるが、どこかファッショナブルに描かれていて、依存症の怖さが伝わりにくい。今作は実話を元にしたストーリー。ドラッグから抜け出せない若者の苦しみと、彼を支え続ける家族の葛藤を描く。

 ニック(ティモシー・シャラメ)=写真左=は成績優秀、スポーツも万能な好青年。父親が再婚した家庭で育ち、義母や義きょうだいらとも良好な関係を築いてきた。しかし、「軽く楽しむだけ」と好奇心でつい手を出してしまった薬物が、彼と家族の関係を狂わせていく。

 物語は父と息子の二つのまなざしで進む。父のデビッド(スティーブ・カレル)=同右=がニックの幼い頃を回想するシーンは、父がどんなに深い愛情を息子に注いできたのかが伝わってきて切ない。

 「(ドラッグで)満たされたいと思った」。両親の離婚後、本音をしまい込んできた反動が道を踏み外すきっかけになった。ニックは治療中も繰り返し薬に手を出し、家族は解決策を見失う。愛息に何度も裏切られ傷心するデビッドに「人は救えない」と告げる妻。

 人は人を救うことができるのか-。妻のせりふに、本作の主題が込められている。愛がある限り再生へと向かう道は必ずあるはず。父の愛に勇気づけられた。


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