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時代の正体
「学ぶ場分けないで」 小学校で支援学級、県立高進学

時代の正体 神奈川新聞  2019年04月01日 09:39

古銭研究に熱中 膨らむ夢

【時代の正体取材班=成田 洋樹】発達障害と知的障害がある男子中学生が今春の県立高校入試に挑み、志望校に合格した。小学校では障害のある子らが通う特別支援学級に籍を置いていたが、中学校では普通学級を選択。「障害があるからといって学ぶ場を分けられたくない」。その思いを胸に期待を膨らませる高校生活では、プロ顔負けの「古銭の目利き」としての才能にも磨きを掛ける。


高校生活への期待を膨らませている奥村志門さん(右)と母の美砂さん
高校生活への期待を膨らませている奥村志門さん(右)と母の美砂さん

偏見

 座間市在住の奥村志門(しもん)さん(15)には、字を読み取ったり、読みやすい字を書いたりするのが不得手な学習障害(LD)をはじめ、落ち着きがないとされる注意欠陥多動性障害(ADHD)、対人関係が苦手なアスペルガー症候群といった発達障害がある。知的障害は中度の「B1」だ。

 2月の入試では字の大きい問題の配布や試験時間延長が認められ、地元の座間総合高校を受験した。合格発表の日には受験した同級生十数人で連れ立って同校を訪れ、互いに抱き合って吉報を喜んだという。

 これまでの道のりにはしかし、多くの壁が立ちはだかった。

 中学2年の秋ごろ、体育祭のムカデ競走の練習中に転んで手足をすりむいて立ち上がることができず、チームが立ち往生してしまうことがあった。翌日、教諭から発せられた心ない言葉がいまも胸でうずく。

 「あれくらいのことで立ち上がれないようなら、このクラスにはいられないよ。支援学級に行くしかないよ」

 この中学校には支援学級が置かれている。「支援学級は普通学級のペースについて行けない子が通う場所」とのレッテル張りにつながりかねない発言は、普通学級で学ぶ奥村さんだけでなく支援学級の生徒にも差別的なまなざしを向けるものでもあった。

 母親の美砂さん(43)とともに学校側と話し合いを重ねたが、事実関係を認めることはなかったという。

 重なる偏見の記憶がある。

 「お前、小学校のときにあそこにいたんだってな」

 中学1年の時に同級生が発した「あそこ」が支援学級を指していることは、奥村さんにはすぐに分かった。別の小学校出身のその生徒が知るはずのない奥村さんの「過去」を誰かから聞いたのだろう。支援学級は、勉強ができなかったり周囲のペースについていけなかったりする「ダメな子」が通う場所だと、やはり受け止められているようだった。

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