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ヨコスカと空母・第3部
原子力空母(1)地元要望「可能性あるなら通常艦を」

社会 神奈川新聞  2019年03月30日 17:14

米海軍横須賀基地
米海軍横須賀基地

 横須賀は、アジア太平洋地域では最大規模となる米海軍部隊の拠点だ。2008年からは原子力空母が恒常的に配備されている。19年時点で主力の「ニミッツ級」空母は排水量10万トン級で、他国が持つ空母を大きく上回る世界最大の規模を誇る。歴史的にも大きな議論を呼んできた原子力空母の配備は、どのようにして実現したのか。関係者の証言や当時の報道などから、歴史をたどる。


 2005年2月。ある晩さん会が、東京で予定されていた。主役は、離任を控えた駐日米大使、ハワード・ベーカー。招待客の一人だった横須賀市長の沢田秀男には「30分早く来てほしい」との依頼を届けていた。

 沢田が一足早く会場に向かうと、別室でベーカーが待っていた。

 話題は、米海軍横須賀基地(横須賀市)に配備されている米空母のことになった。横須賀には、蒸気タービンを動力とする通常型空母「キティホーク」が1998年から配備されていたが、2008年ごろには退役が予定されており、後継艦に注目が集まっていた。

 「近く議会上下両院の軍事委員会で、キティホークの後継艦について、政府側の証言がされる」。ベーカーは沢田に説明する。そして、付け加えた。「政府側の発言内容がどうあろうと、主導権は連邦議会にある。いかなる変更もあり得る」

 沢田は、ベーカーの説明の含意を読み取った。

 米政府の意向とは、後継艦は「原子力空母」なのだろう。だが、ベーカーも共和党の上院院内総務を務めた実力者。「変更もあり得る」との発言を受け止めよう、と思った。

 沢田は大使に、引き続き通常型空母を横須賀に配備するよう要望した。「通常型空母『ジョン・F・ケネディ』の配備が望ましい。予備の案として、キティホークの就役期間の延長も考慮してほしい」

 ベーカーはうなずいた。「海軍長官のゴードン・イングランドとは親しいから、話しておく」とも約束した。

 「30分間」を大きく超えた話し合いの時間だったという。

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 米軍が当時保有していた空母は12隻だったが、このうち通常型空母は横須賀のキティホークと、フロリダ州メイポートを母港とするジョン・F・ケネディの2隻だけとなっていた。艦船の高能力化を進める米海軍が、原子炉を動力とする空母に段階的に置き換えてきた結果だ。

 キティホークは1961年完成の古参。ジョン・F・ケネディも1968年の完成と古い船だが、当初の退役時期は2018年と、キティホークよりはやや先に予定されていた。

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