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【シネマ散歩】
【バイス】理念無き政治への警鐘

カルチャー 神奈川新聞  2019年03月29日 16:16

 4月5日からTOHOシネマズららぽーと横浜などで上映。イラク戦争時のブッシュ政権で、副大統領を務めたことで知られるディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)=写真。酒浸りで大学を中退になった彼が、いかにして米国の中枢まで上り詰めたのか。自国第一主義を掲げるトランプ大統領とも重なる彼の政治人生を問い掛けようと、ブラッド・ピットが製作陣を率いて映画化した。

 「アメリカを再び偉大な国に!」-。1980年代、レーガン大統領が掲げたスローガン。保守的な空気が社会を覆い、下院議員だったチェイニーはその権力を使って、都合の良い政策を次々に行っていく。

 彼の権力への執着を支えていたのは、妻のリン(エイミー・アダムス)だ。チェイニーとは高校からの幼なじみ。「私は頑張っても女だから市長にもなれない。だけどあなたは違う」。男女格差の悔しさをバネに、夫婦二人三脚で社会的ステータスを得てきた。

 保守層から支持を得ていたが、愛する娘が同性愛と知り、一時は政治から身を引いた。だが、その後、ブッシュ政権への参加の道を選ぶ…。

 イラク空爆後も大量破壊兵器は見つからず、彼らの決断が多くの犠牲者を生んだ。権力者の決断がその後の世界を変える怖さが、まざまざと描かれる。理念無き政治が続く社会への警鐘を受け止めたい。


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