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安保法は「違憲」 県内初の集団提訴

社会 神奈川新聞  2016年09月17日 02:00

自宅の庭から、米軍機や自衛隊機の騒音が続く空を見上げる飯森さん=15日、大和市
自宅の庭から、米軍機や自衛隊機の騒音が続く空を見上げる飯森さん=15日、大和市

 安全保障関連法は憲法に違反するとして、県民らが16日、国に対し安保法に基づく自衛隊の派遣差し止めと1人当たり10万円の国家賠償を求め、横浜地裁に提訴した。全国各地で起こされている集団訴訟の一環で、県内では初めて。原告には基地の周辺住民、横浜大空襲の被災者らが加わり、弁護団は「同法が県内に与える影響を訴え、違憲性を明らかにしたい」としている。

 訴えによると、安保法は憲法9条の平和主義条項に違反しており、「集団的自衛権が行使されれば、憲法の平和的生存権が侵害される」と主張。一度侵害されると回復は困難とし、安保法に基づく自衛隊の出動や後方支援活動などの差し止めを求めた。全国で初めて、PKO協力法による駆け付け警護などの実施差し止めも請求した。

 また、同法が成立したことで、「日本がいつ戦争当事国になるか分からない危険な状態に置かれ、精神的苦痛を被った」と、国を相手に損害賠償を求めた。

 賠償請求の原告は254人に上り、このうち15人が差し止め請求の原告に名を連ねた。弁護団は追加提訴も予定しており、原告数はさらに増える見込み。

 政府の国家安全保障局は「平和安全法制は憲法に合致したものであり、国民の命と暮らしを守るために必要不可欠なものである」とコメント。原告の中西新太郎横浜市立大名誉教授(68)は、提訴後に横浜市内で開かれた集会で「憲法を順守すべき政府が解釈をひっくり返し、憲法に反する法律を作った状態を、裁判所は真剣に考えてほしい。私たちの主張を、多くの人が一緒に考える機会になることを願う」と、約120人の参加者に訴えた。

平和の尊さかみしめ




 「平和は貴重なもの、という言い方自体が軽い。たくさんの戦死者の上に今がある」

 大和市の飯森昭男さん(89)は、戦争体験で刻まれた思いから、安全保障関連法を巡る違憲訴訟に参加した。

 小学校を卒業して工業学校に在籍中、軍隊に入るか軍需工場に就職するかを迫られた。剣道が強かった同期生は卒業まで約1年を残し、海軍飛行予科練習生に志願。同期で最初の志願者で、全生徒が集まる朝礼で「予科練の試験に合格しました」と誇らしげにあいさつしたことを覚えている。

 自身は民間の軍需工場に就職し、18歳で終戦を迎えた。結婚して間もなく、同期が終戦間際の1945年8月に戦死したと仲間から聞いた。人間魚雷と呼ばれた1人乗り潜水艦「回天」で出撃し、沖縄東方の海上で米軍の攻撃を受け、帰らぬ人となったという。

 「われわれは軍国教育を受けた世代。当時は戦争で命を落とすのは当たり前という感覚だった」。一方、戦前の官僚が戦後に政治家として復帰するなど、国を挙げて経済成長に進む中で「時間がたつと、余計にかわいそうに思えた」。

 50年ほど前に移り住んだ大和市内の自宅は、厚木基地の北西約4・5キロ。

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