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鉄道好きの記者たちが綴るコラム
「前照灯」(295)消える石炭列車

社会 神奈川新聞  2019年03月29日 12:00

知人(しれと)に到着した石炭列車。本来は先端まで行って、石炭を落とすが、今回は保安列車のため、先端までは行っていない

 釧路市内を走る「太平洋石炭販売輸送臨港線」は、国内で唯一の石炭専門輸送の貨物線。3月いっぱいで運休となり、その後廃止されることになった▼もともとは1925(大正14)年、当時の太平洋炭礦の石炭輸送部門を担う鉄道として開業。選炭場がある春採(はるとり)と桟橋のある知人(しれと)を結んだ。その後、根室本線と接続するなど、一時は総延長11キロまで伸び、旅客も扱ったが、現在は開業時の2駅間で貨物だけ運んでいる▼太平洋炭礦を引き継いだ釧路コールマインは、いまや国内唯一の坑内掘りの炭鉱。採炭量の減少はあるが、閉山するわけではない。最新鋭の石炭火力発電所を近くに建設し、そこへはトラックで輸送されることになるのだという。石炭の地産地消は、その唯一の炭鉱が生き延びる道でもあるのだろう▼私が訪れたのは今月9日。空荷ではあるが、走る姿を見ることができた。ディーゼル機関車2両に前後を挟まれた24両の石炭車が、沿線を2往復。沿道には、鉄道ファンやテレビ局が撮影に来ていた▼2両のうち片側の機関車D801は、かつて釧路近くにあったもう一つの炭鉱の運炭鉄道・雄別鉄道を走っていた。私のふるさとだ。雄別炭鉱の閉山後、もう一つの鉄道を経てやってきた。半世紀以上現役で活躍してきたこの機関車も臨港線廃止で運命をともにするのだろうか。(a)


春採駅には、ほかの機関車も止まっていた

沿線には、カメラを構えたファンが並ぶ

雄別鉄道出身のD801。1966年製造

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