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アート通して学ぶEDI 横浜でワークショップ

話題 神奈川新聞  2019年03月27日 12:04

全国の文化事業に関わる関係者が出席したワークショップ
全国の文化事業に関わる関係者が出席したワークショップ

 「平等、多様性、包摂」(EDI)の価値観を文化事業で積極的に取り入れる方法を学ぼうと、先進的に取り組む英国の文化政策機関「クリエイティブ・スコットランド」の専門家を招いたワークショップがこのほど横浜市内で行われた。同機関のミリカ・ミロシェビッチは、「どうすれば人々が平等に生きられるのか、EDIを通して考えてほしい」と呼び掛けた。

 ワークショップは、横浜市、アーツコミッション・ヨコハマ(同市芸術文化振興財団)、ブリティッシュ・カウンシルの共催。文化事業に関わる専門家らが、スコットランドの事例に学ぼうと、全国から参加した。

 ミロシェビッチは「必ず伝えたいメッセージは、一人一人が平等な価値を持ってこの社会に存在しているということ」と、冒頭、呼び掛けた。

 そして「英国では人々がアートに関わることで、生活の質を向上させるという研究が、長年行われてきました」と文化事業の重要性を訴えた。

 参加者からも「芸術へのアクセスが限られているのは、人権侵害ではないか」「アートの力で社会課題を積極的に解決したい」などと声が上がった。

 ワークショップでは同市の少子高齢化を念頭に、「高齢者が孤立せず、どう社会と接点を保てるか」「人々の健康維持にとって、アートはどう役立つのか」などのテーマを中心に、それぞれのグループで考えをまとめた。

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参加者の発表に耳を傾けるミロシェビッチ(左端) =横浜市中区
参加者の発表に耳を傾けるミロシェビッチ(左端) =横浜市中区

 ミロシェビッチは、「英国では、EDIがそれぞれの事業で達成されているかどうかを必ず確認します。そうすることで、その政策に何が足りないのかを戦略的に考えることができる」と、EDIの重要性を指摘する。

 少子高齢化はスコットランドでも進み、文化事業を通してさまざまな課題に取り組んできた。「課題を解決するためには、どんな団体を巻き込むのか、どんな結果がほしいのか、長期的な戦略や考え方のフレームがとても大切」とミロシェビッチは言う。

 スコットランドでは、バレエ団が高齢者のダンス教室を提供したり、美術館で展覧会を開いた高齢者らがその様子をドキュメンタリー作品としても制作したりと、EDIを文化政策の中心に位置づけて実践してきた。こうした取り組みは、アートが人々の自己肯定感や、健康面の向上にどう直結するのか、客観的データとしても蓄積され、新しい政策にも生かされる。

 ミロシェビッチは言う。「アートの力で、本当に世の中を良くしたいと思う気持ちが大切です。バレエ団の取り組みは、高齢者は常に何かを『受ける側』だったが、本物のプロのダンスを学ぶことで高齢者も輝けるという見方に変わることにつながっています。EDIをコンセプトに入れていくと、人々に必要なものが必ず見えてきます」


ミリカ・ミロシェビッチ
ミリカ・ミロシェビッチ

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