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【減災新聞】津波の教訓 次代に 千葉・旭市

減災 神奈川新聞  2019年03月24日 11:49

階段やスロープで「築山」の避難スペースに上ることができ、駐車場も整備された日の出山公園=千葉県旭市椎名内
階段やスロープで「築山」の避難スペースに上ることができ、駐車場も整備された日の出山公園=千葉県旭市椎名内

 東日本大震災で首都圏最悪の津波被災地となった千葉県旭市は、関連死を含め16人が犠牲になった教訓を生かそうと、避難施設の拡充を進めている。ビルや高台が少ないという沿岸部の現況を踏まえ、昨年5月には、避難用の「築山」を整備。今年7月に開館5周年を迎える防災資料館のリニューアルも行い、市内の小学生に対する防災教育を組み合わせながら、次代への継承にも力を入れていく。

昨年5月に「築山」整備
公園化し高台確保


教訓を後世に伝えるため、石碑も設置されている。遠くに海が見える
教訓を後世に伝えるため、石碑も設置されている。遠くに海が見える

 海岸から約1キロ。九十九里浜からの潮風が吹き抜ける中、階段を上っていくとすぐに、視界の開けた海抜13メートルの頂上部(広さ530平方メートル)に着く。

 もともとは田んぼや畑だった土地を市が取得。復興計画に基づいて2015年度に事業着手した津波避難施設の築山だ。

 市によると、一帯は8年前の津波で浸水していないものの、高さ10メートルの津波が沿岸部に押し寄せると、1・5メートルほど浸水すると想定されている。だが、小学校や保育園があるこの一帯には、駆け込める高台やビルが全くない。

 そうした周辺環境の課題を考慮し、頂上に500人が逃げ込めるようにした。防災倉庫や太陽光の照明を備えており、スロープでも上がることができる。明智忠直市長名で「津波による犠牲者を二度と出さぬよう命を守るために建設した」などと石碑に刻み、伝承の場としての役割も期待している。

 市は震災後、沿岸部に津波避難タワー4基を整備。緊急的に逃げ込めるスペースを確保したが、築山については憩いの場として日常的に利用できるよう、駐車場付きの公園とした。全体の面積は約1万1千平方メートルで、土地の取得代も含めた総事業費は約2億8500万円。「日の出山公園」として開園し、今年3月の避難訓練でも使われた。

 市内でまだ終わっていない施設面の津波対策は、復興交付金を原資とした市の避難道路の整備事業と、津波の遡上(そじょう)を防ぐことを目的とした県の河川ゲートの設置のみとなっている。

資料館リニューアルへ
防災教育の拠点に


写真や資料、映像などで東日本大震災の被害や復興を伝える防災資料館=旭市萩園
写真や資料、映像などで東日本大震災の被害や復興を伝える防災資料館=旭市萩園

 東日本大震災の教訓を写真や映像、新聞記事などで伝える千葉県旭市の防災資料館は2019年度にリニューアルされる。展示品やレイアウトを見直すとともに、市内の小学校の防災学習に役立ててもらうため、学年単位で訪れる際の交通費を市が負担することにした。

 市は関連経費約1100万円を19年度当初予算案に計上。14年7月に開館して以来、初の大幅リニューアルとなる。昨年4月で3万人に達しながら、減少傾向となっている来館者数の増加につなげたい考えだ。

 具体的な改装内容は固まっていないが、回廊形式にして展示物をテーマごとに区切るなどし、被害や復興の段階を整理して伝える方法を探る。上映している映像も、復興の現状が分かるよう内容を追加する。

 また、地元紙・千葉日報や神奈川新聞の関連記事、寄せ書きなども保存・公開しているが、傷んできたものもあるため、資料の保存や劣化防止に取り組む。

 防災教育に力点を置くのは、8年が経過し「震災を知らない世代」が増えてきたためだ。主に小学3年生の総合学習などに活用してもらうため、バスの費用を負担。市は「小学生が必ず1回は防災資料館に足を運ぶ機会を設け、地元で何が起きたのか、津波の仕組みはどのようなものかを知ってもらう。将来の防災につなげていきたい」としている。

自助のヒント ヤフーが防災模試
 ヤフーは31日まで、地震防災に関する知識を問う「第2回全国統一防災模試」をスマートフォン向けのウェブページなどで行っている。平成の時代に発生した災害に関する設問を含め、幅広いテーマの25問を出題。選択式で知識を問うものや、スマホ画面で災害用伝言ダイヤルの番号を押したり、心臓マッサージに適切なスピードでタップしたりする内容が出される。昨年実施した1回目は約155万人が参加した。結果は後日、都道府県別にリポートにまとめ。ホームページ上で公開する予定。


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