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感謝、笑顔で伝えたい “車椅子の詩人”松本さん初の個展

話題 神奈川新聞  2019年03月18日 11:33

初の個展を前に、「来場者が笑顔になってほしい」と語る松本さん=川崎市宮前区の市有馬・野川生涯学習支援施設
初の個展を前に、「来場者が笑顔になってほしい」と語る松本さん=川崎市宮前区の市有馬・野川生涯学習支援施設

 自身を“車椅子の詩人”と呼ぶ川崎市の男性(52)が19日から初の個展を開く。高校3年時に頚椎(けいつい)を損傷して以降、創作に情熱を傾けてきた詩のパネル展示をはじめ、近年になって取り組む書や水彩画、写真など多彩な作品を出展する。「自分一人では何もできない。支えてくれる方々へ、感謝の気持ちを笑顔で伝えたい」

 右腕に手拭いを巻き付けて筆を固定すると、手首の微妙な動きで半紙上に走らせていく。手が震える症状にも細心の注意を払いつつ、「笑顔」の2文字と氏名を書き記した頃には、1時間が経過していた。

 「一生懸命に教えてくれるから、自分も一生懸命にやります。字を書くのは楽しいし、うれしい」。そう笑って話すのは、障害者支援施設「れいんぼう川崎」(宮前区東有馬)に入所する松本幸治さんだ。2017年から近くの市有馬・野川生涯学習支援施設(アリーノ)に通い、書や水彩画の教室に参加。創作活動の幅を広げてきた。

 小田原市出身の松本さんは広島県立尾道商業高校3年生の時、体操部の練習中の事故で頚椎を損傷し、胸から下の感覚を失った。両腕はわずかに動かせるが、握力は左右ともほとんどないという。

 それでも、事故直後には詩の創作を開始。フェルトペンを手に苦悩をつづるなど、自らの内面を表現してきた。障害のある人が書いた詩とアートを組み合わせる「NHKハート展」では、これまで3回の入賞を果たした。

 アリーノでの教室以外にも、電動車椅子での“散歩中”にスマートフォンのカメラでスイセンの花や猫の姿を撮影するなど写真にも興味を抱く。今回の個展に協力しているアリーノの境高幸館長(60)は「障害者だからではなく、努力の結果を見てもらいたい。地域に支えられる絆がより深まるきっかけになれば」と期待を寄せる。

 普段の生活を含めて、たくさんのサポートに感謝する松本さんは健常者と障害者の距離感をこう語った。

 「僕としては一緒に生きようよ、と。みんな生かされているのだから。健常者だって、年を取れば(介護が必要な)障害者。同じことだと思うんですけどね」。今回の個展も、作品を通じてともに楽しむ時間にしたいと思い描く。

 個展は25日までアリーノで開催。午前10時~午後5時(初日は午後1時から、最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは、アリーノ電話044(853)3737。


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