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住宅地の未来 企業とまちづくり(上)
綱島、新駅開業のインパクト

経済 神奈川新聞  2019年03月18日 05:00

新綱島駅の建築現場
新綱島駅の建築現場

 春の訪れを感じる3月初旬、東急東横線綱島駅(横浜市港北区)に降り立つと、響き渡る槌(つち)音が生まれ変わる街への期待感を感じさせた。相模鉄道と東急の相互直通運転に伴う2022年の新綱島駅(仮称)開業に向け、工事が続く綱島駅東口エリア。平日の午後、ベビーカーを押す若い母親や、塾に通う小学生、部活帰りの中学生らの姿でにぎわう。

 ここ数年、日吉綱島東部地区(東急東横線日吉駅~綱島駅の東側地域)では、綱島街道の沿道を中心に新築の集合住宅が急増した。市の試算では、今後市全体の人口が減少に転じる中でも、港北区は人口増が続くと予想されている。

 「12年に新駅の計画が正式決定したことが、綱島周辺の再開発が本格化する大きなきっかけとなった」と話すのは、横浜市都市整備局市街地整備推進課の中里浩一郎担当課長。綱島駅前は、狭い通りにバスやタクシー、歩行者が混在する安全面や交通渋滞などが問題となっており、1980年代前半から再開発が検討されてきた。

 現在は新綱島駅の開業に向けた工事に加え、同駅周辺地区の土地区画整理事業と再開発事業、幹線道路である綱島街道の一部拡幅が、新駅開業の2022年下期をゴールとして進行中だ。

地域間競争


 なぜ今、綱島が注目されているのか。「10年ごろから高度な知識や技術を持つ人材を求める企業が東京に集中し、大学も都心に回帰したことから、東京圏に人が集まる力が強まった。その受け皿として神奈川でも人口が増加している」と、都心回帰の背景を説明する浜銀総合研究所の遠藤裕基主任研究員はこう続ける。

 「ただし県内でも強弱があり、東京にアクセスしやすい川崎や横浜北部の地価が上昇している」。この点で綱島・日吉エリアには大きなポテンシャルがあるといい、実際に「綱島東」は18年の公示地価で、住宅地として県内1位の上昇率(7.4%)となった。

 「人口が減少するいま、都市間で人を取り合う地域間競争の時代が到来している。東京につながる新駅の開業は、再開発を推し進め、人口を集める上で大きな起爆剤だ」

多様な主体

 横浜市はこの地域に住宅だけでなく、企業など多様な主体を呼び込むことも目指す。

 18年春に完成した「綱島SST(Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン)」はパナソニック(大阪府)や東京ガス(東京都)、JXTGエネルギー(東京都)などが協働し、「次世代都市型スマートシティー(環境配慮型都市)」の実現を目指すプロジェクト。敷地内には米アップル社の研究所も立地。新駅開業で、新幹線が通る新横浜駅へのアクセスも容易になることは、企業にとっても魅力的だ。

 新駅上部に建設される28階建ての再開発ビルには商業施設、住宅、港北区の「区民文化センター」が入ることが計画されている。地権者でつくる新綱島駅前地区市街地再開発組合の池谷完治理事長は「30年以上紆余(うよ)曲折あったが、組合設立にこぎつけられほっとしている。今は混沌(こんとん)とした雰囲気だが、再開発で魅力的な街になれば」と将来を見据える。

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 全国の市区町村トップの人口を誇る横浜市も人口減に転じることが予測される2019年。まちの活力を維持するため、自治体や企業の模索が続く。郊外住宅地の将来像を探る。


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