1. ホーム
  2. 社会
  3. “プロ”が逃げ方伝授 ストーカー対策のガイドブック作成

探偵が逆転の発想で
“プロ”が逃げ方伝授 ストーカー対策のガイドブック作成

社会 神奈川新聞  2019年03月17日 11:52

つきまといからの逃げ方を伝授するガイドブックを作った探偵の宮岡さん
つきまといからの逃げ方を伝授するガイドブックを作った探偵の宮岡さん

 “つきまといのプロ”である探偵が、ストーカーからの逃げ方を伝授する防犯ガイドブックを作った。「ストーカーからNIGERO(ニゲロ)」。これまでに経験した失敗を被害者に役立ててもらおうという逆転の発想だ。

 一風変わったガイドブックを作ったのは、調査会社「JCI」(東京都足立区)代表の宮岡大さん(29)。作成に当たっては、弁護士やカウンセラーからも助言を受けた。

 この道8年。さまざまな依頼を受け、日夜、尾行や張り込みを重ねてきた宮岡さん。収められているのは、駆け出しだった1年目に経験した失敗の数々だ。

 急に人混みに紛れたり、タクシーに乗り込んだり…。どれも探偵から逃れようとして相手が取った行動ではなく、自然な動きの中で見失ってしまったものばかり。こうした失敗はストーカーから逃げるときの参考になるのでは、と考えた。

 当初、題名は「NIGERU(ニゲル)」だったが、ストーカーの危険性をより強調するため、あえて強い表現にした。一方で、解説文にユニークなタイトルや自作のイラストを添えたのは工夫の一つ。「深刻な内容だからこそ暗くなり過ぎず、気軽に手に取ってもらえるようにしたかった」

 ガイドブックに掲載されている方法は、すぐに実践できるものがほとんどだ。

 例えば、「人ごみにGO」では「注意することは『決して走らない』こと。人混みでも速く動くモノは目立つ。人の流れに合わせて、進行方向を変えて逃げよう」とアドバイスする。


ユニークなイラストに解説文が添えられたガイドブック
ユニークなイラストに解説文が添えられたガイドブック

 さらに、「変装」では「ストーカーは『シルエット』と『色』で判断する。『髪』と『上着』を変えるだけでも十分な変装になる」と、探偵ならではの視点もちりばめられている。

 取り組みの原点にあるのは、2012年に起きた逗子ストーカー殺人事件への反省だ。依頼を受けた同業者が市役所から聞き出した女性の個人情報を加害者側に伝え、惨劇につながった。

 「探偵は困っている人を救うのが仕事。犯罪に悪用されるのを防ぎ、被害者を救いたい」と宮岡さん。18年1月には、ストーカー加害者の情報を全国の調査会社で共有する救済サイト「Save me(セーブ・ミー)」を立ち上げた。

 警察庁のまとめによると、全国の警察が17年に把握したストーカー被害は2万3079件。5年連続で2万件を超えた。

 宮岡さんは「もう誰にとってもひとごとではない。僕の苦い失敗から逃げるために必要な知識を学び、一人でも助けられたらうれしい」と話している。

 ガイドブックはB6判、44ページ。宮岡さんのインスタグラムでも無料公開している。アカウントは「@tantei.sos」。問い合わせは、JCI電話03(3882)6255。


シェアする