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平成の正体 第2部 分断と格差の経済史(1)
自分見失う過酷労働 雇用慣行の破綻

時代の正体 神奈川新聞  2019年03月15日 05:00

実質消費支出指数の推移
実質消費支出指数の推移

【時代の正体取材班=田崎 基】首都圏にある従業員数100人ほどの運送会社で武田豊さん(仮名)が正社員として働き始めたのは25歳のとき。それまではアルバイトで生計を立てていた。

 「運転免許の種別が大型と中型で運転できるサイズが変わる法改正があり、そのとき大型免許を取れば10トントラックが運転できたから」。さして深く考えた就職先ではなかった。

 働き始めてすぐは疲れと睡眠不足がつらかったが、生活のリズムが体に染みつくと「常に疲れている状態が慢性化し次第に感覚がおかしくなり慣れていった」。

 給与は完全歩合制。運んだ売り上げの30%が基本給となり、そこに手当が付く仕組みだという。

 「だから早く積んで、早く下ろすために深夜、未明から倉庫の前で並ぶようになる」

 高速道路の利用料金まで給与から天引きされる。節約のために一般道をひた走ることもあった。

 「休憩や仮眠もトラックの中。倉庫や工場の前で並んでいるときや、コンビニの駐車場、高速道路のサービスエリアで休んでいた」

 1日8時間、25日働くと1カ月に200時間。これが月間の所定労働時間だとして、残業時間を加えると1カ月に700時間働いたときもあったことになる。

 トラックの中での休息は、仕事から完全に切り離された休みではないため「労働時間」として計算される。実際、必要があればいつでも運転できる状態を維持し続けなければならなかった。

長時間を是正

 異常な働き方をしている。そう気付いたのは同僚が死亡事故を起こしたからだった。

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