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感性磨くオノマトペ 相模女子大稲田教授が魅力語る

カルチャー 神奈川新聞  2019年03月14日 13:23

「オノマトペを通じて子どもたちとのコミュニケーションを楽しんでほしい」と話す稲田大祐さん=相模女子大
「オノマトペを通じて子どもたちとのコミュニケーションを楽しんでほしい」と話す稲田大祐さん=相模女子大

 心が弾むと「うきうき」、星は「きらきら」、猛獣のうなりは「がおー」。私たちの感情、音や声、自然の様子を豊かに表現してくれるオノマトペ(擬音・擬態語)。一言で表現できる分かりやすさが親しみやすさを誘い、言葉を覚え始める子どもにとっても相性がいい。絵本制作に携わる相模女子大(相模原市南区)学芸学部教授の稲田大祐さん(55)に、子どもの感性を磨くオノマトぺの魅力を聞いた。

 2015年2月に刊行した0~2歳児向けの絵本「まみむめもにょにょ」「ぷんぷんぶふふ」の監修を務めた稲田さん。好評を博してシリーズ化し、半年後には3作目「ばっばばーん」、16年8月には4作目「だっしゅん」(いずれも永岡書店、918円)が出版された。

 動物のほか、楽器、雨など日常で目にする物や風景のイラストが登場する。赤ちゃんが発音しやすい「マ行」や「パ行」に特化した、「もぐもぐ」「ぽかぽか」といったオノマトペが、フクバリンコさんによる親しみやすいタッチの絵とともに描かれている。

 「日々の暮らしで無意識に使うオノマトペは身の回りにあふれている」と稲田さん。特に幼い子どもの声に耳を澄ますと、車は「ぶーぶー」、犬は「わんわん」といった具合に数え切れないオノマトペが聞こえてくる。「身近な存在であるオノマトペを入り口に、言葉の面白さに触れて豊かな想像力を育んでほしい」。そんな思いを絵本に込めた。


稲田大祐さんが監修、フクバリンコさんが絵を手掛けた永岡書店の絵本シリーズ
稲田大祐さんが監修、フクバリンコさんが絵を手掛けた永岡書店の絵本シリーズ

 定番のものとは別に、日頃聞き慣れない、ひねりのある表現もふんだんに組み込んでいる。例えば4作目のタイトルにある「だっしゅん」はくしゃみの音。チューブから出てくるケチャップは「でちょっ」と表した。表現は自由で無限。「ページをめくりながら、子どもたちが思い思いにオノマトペを編み出してもいい。その子の感性をたくさん育ててほしいんです」

 日本語は特にオノマトペが豊富とされる。水の音ひとつとっても「ザーザー」「ちろちろ」など、その強弱によってあまたの響きがあり、オノマトペからは分量や程度、様子を知ることができる。紙を折る際も「ぎゅっ」と「きゅっ」では前者の方がより圧力がかかるさまを表しており、「オノマトペを通して人間の持つ絶妙な手の加減を学ぶこともできる」と稲田さんは言う。

 子どもへの読み聞かせにこつはあるか。「オリジナルの文章に忠実になる必要はない。絵を見ながら言葉をどんどん加えてあげて。子どもが思いがけない反応をしたら、それに沿ったストーリーを展開してもいいですね」。リズミカルに読むと、より子どもを引きつけることができるという。

 成長に合わせて、日々耳にする音や生活の様子をオノマトペにして伝えることで対象の情景が目に浮かび、子どもたちの想像力や感覚が磨かれる。「それは将来、自ら絵を描いたり何かを創作したりする際にも力になります」と稲田さん。

 無限の可能性を秘めるオノマトペ。絵本をきっかけに意識的に日常に取り込めば、より豊かな世界が広がりそうだ。


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