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時代の正体
川崎市のガイドライン欠陥鮮明 ヘイト未然防止で

時代の正体 神奈川新聞  2019年03月06日 11:00

時代の正体取材班=石橋 学】東京都が策定中の公的施設でのヘイトスピーチを未然防止するためのガイドライン案に関し、施設利用の不許可要件に「迷惑要件」は不要とする会長声明を東京弁護士会が発表した。根拠の一つとして引き合いに出されているのが川崎市のケース。全国に先駆けて昨年3月に施行された市のガイドラインだが、改めてその仕組みの欠陥が指摘された格好だ。

 川崎市のガイドラインは、差別的言動が行われる可能性が高い「言動要件」と、他の利用者に迷惑が及ぶ恐れがある「迷惑要件」をともに満たす場合、施設利用を不許可にできる。

 東京弁護士会が都のガイドライン案を問題視するのは、二つの要件に該当することを必須とする「川崎方式」を採っているためだ。声明では、昨年6月のヘイト団体の集会を川崎方式の弊害として例示。迷惑要件に該当しないとして市は会場利用を許可したが、集会では「ウジ虫、ゴキブリ、日本から出ていけ」との差別的言動が行われた。

 一方で、同様の2要件の「いずれか」を満たせばよいとする京都府・京都市のガイドラインにも言及。「弊害は報告されておらず、迷惑要件は不要」とした。「京都方式」との対比が川崎方式の問題点をより鮮明にしている。

苦慮の声も

 川崎市は迷惑要件について「表現や集会の自由を制限する重い判断。公的施設の利用制限に関する最高裁判例を踏まえて設けた」と説明する。だが、判決は過激派の内ゲバを巡って導かれたもので、ヘイトスピーチの問題とは無関係。判例にならった結果、市は「迷惑」に該当するのは「警察でも防げない暴力沙汰」を想定しており、利用の可否判断を担った職員からは「ヘイトの問題ではほぼ起こり得ない。迷惑要件のハードルは相当高い」と苦慮する声も漏れる。

 声明では、差別と無関係な迷惑要件は「人種差別撤廃条約の趣旨やヘイトスピーチ解消法の要請に合致しない」と指摘。京都府人権啓発推進室も迷惑要件を必須としていない点について「解消法で許されないとした言動をもって判断するのが筋だから」と説明する。都の担当者は「先行自治体よりも(迷惑要件に)該当する範囲に幅を持たせる」と川崎市との違いを強調し、判例をそのまま当てはめるわけではないとする。

認識の遅れ

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