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19川崎市予算案(上)
激込み鉄道駅、緩和策待ったなし

政治行政 神奈川新聞  2019年03月05日 05:00

 川崎市の2019年度予算案が発表され、市議会での審議が始まった。予算案から見る市の課題、財政運営などを検証する。




満員の上り電車に乗りきれず、次の電車を待つ列であふれるJR横須賀線武蔵小杉駅の朝のホーム=川崎市中原区
満員の上り電車に乗りきれず、次の電車を待つ列であふれるJR横須賀線武蔵小杉駅の朝のホーム=川崎市中原区

 上り電車を待つ人の列が下り電車の発着するホーム反対側まで延びる。ホームに上がるエスカレーターにも長い列ができ、敷設された動く歩道は歩くこともできない。「黄色い線の内側にお入りください」。駅員の注意が何度も流れる。JR横須賀線武蔵小杉駅の平日朝のいつもの光景だ。

 横須賀線武蔵小杉駅は2010年3月に開業。JR東日本横浜支社によると、17年度の1日当たりの乗降客数は南武線を含め約26万人に上り、開業当初の想定(約18万人)のおよそ1・5倍に達している。

 背景にあるのは、次々と建設されたタワーマンションだ。急激な人口増に対応しきれず、混雑緩和策は市にとってここ数年の喫緊の課題になっていた。

 市と同支社は15年に包括協定を結び、臨時改札の設置など対策を推進。多少の効果は見られたものの、抜本的な解決には至らなかった。「ホームからの転落事故が起きかねない」。住民や利用者からの再三の改善要望を受け、市と同支社が下り線専用ホームを新設する方針を打ち出したのは昨年7月のことだった。

 昨春に担当ポストを設けてJR側との協議を重ねるなど、混雑緩和に強い意欲を示してきた福田紀彦市長は19年度当初予算案の発表会見で強調した。「魅力ある都市拠点やこれらを結ぶ交通環境の整備を総合的に進め、便利で快適な暮らしの実現を図っていく」

 計画では23年度の供用開始を目指し、下りホーム整備を同支社が、新たな改札口とアクセス用市道(約200メートル)の整備を市がそれぞれ負担する。総事業費のうち市負担分は20億~30億円を見込み、市は19年度予算案に用地購入や調査基本設計費として約11億4千万円を計上した。

 ただ、ホーム新設が抜本対策に結び付くのか未知数の部分もある。同駅周辺ではタワーマンション4棟の新設が決まり、さらに1棟の建設計画も進む。市拠点整備推進室の推計では、この5棟で最大約1万人の人口増が見込まれ、駅の混雑にさらに拍車が掛かる事態は避けられそうもない。

 影響は横須賀線にとどまらず南武線にも及ぶ。沿線人口が増えている同線は首都圏JRで3番目の混雑路線だが、都市部のJRでは珍しい6両編成で運行。長編成化を望む声は根強いが、踏切と近接したホームの拡張など困難が伴う。

 「開かずの踏切」解消を目的に、同線では武蔵小杉-矢向間(約4・5キロ)の連続立体交差化の計画が進行。駅施設が更新されることになり、長編成化の契機にもなり得る。市は連続立体交差化と長編成化を「10年以内の着手を目指す事業」と位置付けるが、総事業費は概算で約1185億円。横須賀線武蔵小杉駅などの事業と合わせれば2千億円もの巨費が投じられる計算になる。

 人口増に伴い市税収入が6年連続で増え、市財政は一見恵まれているように見える。だが人口増ゆえに強いられる支出も同時に発生し、交通インフラの再整備はその典型例といえる。

 「今後は事業の進捗(しんちょく)に合わせ、年度間の予算調整が非常に大変になっていく」。会見で福田市長は当面続く成長都市ならではの苦悩をにじませた。


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