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南海トラフ全体対象「短期確率」に移行 政府・作業部会が方向性
〈予知はどこへ、読めぬ巨大地震〉東海「直前」見直しへ

社会 神奈川新聞  2017年07月04日 11:42

東海地震の直前予知を見直す方向で一致した中央防災会議作業部会=東京都千代田区
東海地震の直前予知を見直す方向で一致した中央防災会議作業部会=東京都千代田区

 国が法に基づいて行う東海地震予知の見直しを検討する政府・中央防災会議の作業部会は3日、同地震を発生直前に予知し交通規制や住民避難などを実行する現行態勢の見直しを提言する方向で一致した。数日後の地震発生を念頭に置いた「直前予知」に替わる新たな手法として、対象を南海トラフ全体に広げ、「1週間以内に2%程度」といった「短期的な発生確率」を活用する方向。これに基づき、地域が取るべき段階的な防災対応策を新たに定める考えだ。

 日本で唯一、直前予知が可能として、1978年から続いてきた大規模地震対策特別措置法(大震法)による東海地震警戒態勢の大きな転換点となる。ただ、新手法による防災対応を被害の想定される地域や産業界などと具体的に詰める必要があるため、移行時期の見通しは立っていない。

 作業部会は6回目となったこの日の会合で、今後とりまとめる報告書の内容を議論。「これまでは2、3日以内に東海地震が発生する恐れがある旨の予知情報が発表されることを前提として、大震法に基づく地震発生前の避難や各種規制措置などを講じることとしていたが、現在の科学的知見を受けて、大震法による現行の防災対応は改める必要がある」などと明記する案を示した。作業部会はこれまで、直前予知の実現困難性を前提に新手法の検討を優先し、現行態勢の見直しについて公式には言及していなかった。

 南海トラフの一部である静岡・駿河湾では従来、マグニチュード(M)8級の東海地震が「いつ起きてもおかしくない」との立場から国を挙げた特別な監視態勢を構築。地震の前兆的な地殻変動を捉えて切迫度を判断し、気象庁が「調査」「注意」「予知」の3段階の情報を発表する。地震の恐れが最も大きい「予知情報」の段階で首相が「警戒宣言」を出し、静岡や神奈川、愛知などで鉄道の運行停止や道路規制、学校の休校措置、沿岸部からの住民の避難などが行われる。

 しかし、40年にわたり駿河湾に大きな異変がなく、東日本大震災(M9・0)でさえも明確な前兆が現れなかったことなどから、直前予知は困難との見方が大勢となった。また、西側の紀伊半島沖の東南海地震や四国沖の南海地震も含め、多様なパターンの南海トラフ地震の警戒に、現行態勢では対応できないことも大きな課題になっている。

 こうした情勢を受け、作業部会は昨年9月に議論を開始。代替手法となる短期確率を発表するケースとして、(1)南海トラフの東側で大規模地震が発生し、西側でも発生が懸念される場合(2)想定より一回り小さい地震が発生し、より大規模な地震が懸念される場合-の主に二つを想定している。

 現在の地震学では、(1)について「3日以内に10%程度」「4日から7日以内に2%程度」、(2)は「7日以内に2%程度」といった形で警戒を呼び掛けることは可能という。だが、現行の予知の根拠である駿河湾の地殻変動に関しては、短期確率を示すのが困難なため、新手法の中でどう取り扱うかは今後検討する。

 作業部会主査の平田直・東大地震研究所教授は終了後、「(発生確率が)100%ではないという前提での対策について、社会的合意が必要」との認識を示した。


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