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MMの海に南方系魚類 専門家「海水温上昇が影響」

社会 神奈川新聞  2019年03月03日 10:18

MM21地区で確認されたヒナハゼ=2018年10月、工藤孝浩さん撮影
MM21地区で確認されたヒナハゼ=2018年10月、工藤孝浩さん撮影

 東京湾、温暖化の証し? 横浜・みなとみらい21(MM21)地区で、本来は熱帯から亜熱帯に生息するヒナハゼなど南方系の魚類が新たに確認された。場所は、帆船日本丸が保存されている「横浜船渠(せんきょ) 第一号ドック」。約20年前の調査では見つからなかったことから、専門家は「東京湾の海水温の上昇による変化が魚の生息環境に表れている」と指摘している。

 調査は、帆船日本丸が大規模修繕を行う際に第一号ドックの水を全て抜く「ドライドック」の直前となる昨年10月、水深約10メートルのドック内に潜って実施。前回実施した1999年の調査結果と比較した。

 ドックは扉船(戸船)で閉じられているが、直径約70センチの穴が二つ開いており海とつながっている構造で、前回の調査で東京湾の代表的な魚類が生息していることが知られていた。

 今回は新たに、南方系の生き物として西日本の汽水域にすむハゼの一種ヒナハゼ(体長1・5~2センチ)が10匹確認された。他にヘダイ1匹、コショウダイ2匹、タイワンガザミ1匹が見つかったほか、外洋性のブリ3匹もドック内に入り込んでいた。

 一方、この海域に多かったマハゼ、アイナメ、アオタナゴ、アサリなどがいなくなったり、激減していたりしたのが分かった。

 東京湾の魚を長年研究し、2度の調査を担当した工藤孝浩さん(56)は「約20年で南方系の生き物が増えたのは、東京湾の内湾部に共通してみられる変化と通じる」とみており、その理由は「東京湾の海水温が20年前に比べて上昇しているため」とみる。

 県水産技術センターの樋田(といだ)史郎主任研究員によると、東京湾での海水温は20年間で冬は0・4度、夏は0・2度上昇した。県の漁業調査指導船「江の島丸」による調査結果を樋田さんが抽出してまとめたもので、気象庁が観測した関東の沖合での海水温の上昇割合よりもいずれも高く推移している。

 長期的な海水温の上昇は地球温暖化を示すとの見方がある一方、東京湾ではヒートアイランド現象や黒潮の蛇行による影響もあることから、工藤さんは「東京湾の海域環境の変化を注意深く見守りたい」と話している。

 ドック内で生息していた魚類の調査結果は、横浜みなと博物館(横浜市西区)で3月24日まで開催中の企画展「横浜船渠 ドック物語」で発表している。


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