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メディアはいま(4)
#metoo #youtoo 償えぬ被害者の人生

社会 神奈川新聞  2019年02月26日 19:50

自身の経験について話す元記者の女性=1月、東京都内
自身の経験について話す元記者の女性=1月、東京都内

 「表に出たのはほんの少しだけ。声を上げられない人がたくさんいます」

 20代の女性、相田茉莉さん(仮名)はかつて身を置いたメディア業界で横行する性暴力が次々と明るみに出てなお、そう感じる。自身も性被害に何度も遭い、周りの意識の希薄さに苦しめられ、絶望の末に業界を去っていた。

 「社会に女性蔑視はDNAのように組み込まれています。1ミリずつでも変えていかないといけない。おかしいと思ったことに声を上げ、それが積もり積もって変化になる。私たちができるのはそれしかありません」

 淡々としながらも、相田さんは信念に基づき、過去の出来事を語り始めた。

若さ武器にするな

 「日々のニュースの中で見掛ける、ふとした笑顔が好きでした。悲惨なこともあるけれど、そんな中でも笑顔で生きている人たちがいる。そんなことを伝えられたらすてきだと思っていました」

 日本で暮らす外国籍の子どもたちの支援に取り組んでいた学生時代、相田さんは、そんな子らの姿をいつか伝えられたらと記者を志すようになった。

 何人もの記者に会いに行く中で大学3年の頃、知り合ったのが当時50代の男性ジャーナリストだった。業界内で名の知れたその男性に、相田さんは尊敬の念を抱いていたという。

 「こんなすごい人と話すこと自体が特別。この機会を生かすことは働く上ですごく大事で、とにかく吸収したいと思っていました」

 同じ記者志望の友人を交えて何度か食事し、仕事や時事問題について語り合った。男性から娘が自分と同年代とも聞いていた。

 記者職の内定を得たことを報告すると2人での食事に誘われた。店ではいつもと変わらず仕事の話をしたが、店の外に出ると突然抱きつかれた。

 「本当に君が好き。付き合ってほしい」

 名誉を傷つけず、どう断ればいいか-。混乱する気持ちを抑えながら懸命に頭を巡らせ「尊敬していますが、そういう感情はないです」と何度も伝えた。

 だが引っ張られ、力ずくでホテルに連れ込まれそうになった。相田さんは「入ったら終わり」と思い、地面に座り込んで「絶対に嫌です」とわめいた。それでも男性に抱きつかれ「キスするだけ」「1回だけ、1回だけ」と顔をつかまれるなどされた。

 「できる限りの抵抗をし、その日は終わりました。なぜキスなら許されると思うのか。なぜ『真剣に好き』なら無理矢理ホテルに連れ込んでいいと思うのか。一人で過ごしているとじわじわと恐怖がよみがえってきて、その恐怖心にどう対処したらいいのか分からず、誰に話したらいいのかも分かりませんでした」

 男性からは後日、メールがきた。文面にはこうあった。「これから記者として頑張ってください。若さだけを武器にする人にはならないでください」。君に迫ったのは君のせいでもあるんだ、とでも言いたいのだろうか。相田さんは怒りを覚えたという。

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