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横浜市2019年度予算案(4)
医療的ケア児、支援を阻む縦割り

政治行政 神奈川新聞  2019年02月25日 18:05

医療的ケア児らの日中預かり施設で研修する北島さん(左)=4日、横浜市金沢区
医療的ケア児らの日中預かり施設で研修する北島さん(左)=4日、横浜市金沢区

 気管を切開し、酸素の投与が欠かせない3歳の男児が、上半身をせわしなく動かす。細い足首から脱げそうな靴下を、看護師の北島美樹さん(53)がそっとたくし上げた。

 横浜市磯子区の訪問看護ステーションに勤めるベテランの北島さんは今月、重症心身障害児らの日中預かり施設「ケアハウス輝きの杜(もり)」(同市金沢区)で研修していた。利用者は、たんの吸引といった医療的ケアを日常的に必要とする。北島さんは施設の看護師の一挙手一投足に目を凝らす。

 市は2018年度、医療的ケア児者らの相談に乗り、支援するコーディネーターの養成を始めた。北島さんは昨秋から約440時間の実地研修に臨み、輝きの杜だけでなく、障害者通所施設や特別支援学校など、地域にある医療的ケア児者らの受け入れ先を見学。「医療、福祉、教育とそれぞれ視点が違う」と驚く。

 「まず地域の多職種の人と顔の見える関係をつくりたい」と北島さん。19年度から、北島さんを含む2人がコーディネーターとして市内で活動を始める。

 市がコーディネーターを育てるのは、潜在的なニーズがあるからだ。医療の発展で、新生児集中治療室を退院後、医療的ケアを日常的に必要とする子どもが全国で増加。だが医療的ケア児者らが地域で暮らす際に生じる複合的な問題に対応できる、医療や福祉、教育に精通した専門のコーディネーターは市内にいない。

 障害児者向けのサービスはあっても、医療的ケアが伴うとその数はぐっと減るのが実情で、市は「主に母親が自力で受け入れ先を見つけているのが現状。負担は大きい」と説く。

 市は19年度当初予算案に3千万円を計上。新たにコーディネーターも4人養成する。庁内での所管はこども青少年、健康福祉、医療3局と教育委員会にまたがっており、行政側にも縦割りの打破が求められている。


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