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映画、ジャズへの愛情あふれ 横須賀美術館「野口久光」展

カルチャー 神奈川新聞  2019年02月25日 18:15

 戦前戦後の30年間で千枚以上の映画ポスターを手掛けた野口久光(1909~94年)の仕事ぶりを紹介する「野口久光 シネマ・グラフィックス」展が、横須賀美術館(横須賀市鴨居)で開催中だ。映画ポスターやスターの肖像画、ジャズに関する資料など約400点が並び、映画とジャズへの愛情があふれ出ている。

 東京美術学校(現東京芸大)で映画研究部に所属し、映画に夢中になった野口。卒業後、映画に関わる仕事をしたいと、自作のポスターを持ち込み、東和商事(後の東和映画、現在の東宝東和)に採用された。

 折しも国内での映画配給システムが整い、宣伝のためのポスターが日本でも作られ始めたころだった。

 「望郷」のフランス本国の大判ポスターは原色が目立ち、俳優たちの表情もきついが、野口は日本人の感性に合うよう、柔らかなタッチで描いている。手描きの文字には、味わい深さと新鮮さがある。

 「映画のワンシーンを描くだけでなく、作品の特徴を的確に捉え、見終わった観客が納得できるような象徴的なポスターも描いた」と同館の栗林陵学芸員。原画がほとんど残っておらず、「旅情」の1枚だけが並ぶ。水彩で描いたのは邦題が変更になった場合、水でさっと拭き取って描き直せるからだという。

 傑作とされるポスター「大人は判ってくれない」では、邦題とコピーも自ら手掛けた。監督のトリュフォーが気に入り、贈られた原画を小道具として自作に登場させたほどだった。

 60年を境に映画産業が衰退すると、ジャズ評論家として活躍。海外のジャズ演奏家が来日するとサポートし、親しく交流した。野口が撮影した写真には、著名な演奏家たちの自然な姿が見られる。

 3月31日まで。4日休館。一般900円、高校・大学生・65歳以上700円。30日午前11時から、同館の海の広場(野外)で無料のジャズコンサートを行う。問い合わせは同館電話046(845)1211。


多彩なデザインの映画ポスターが楽しめる会場=横須賀美術館
多彩なデザインの映画ポスターが楽しめる会場=横須賀美術館

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