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原発避難訴訟、国の責任認定5度目

社会 神奈川新聞  2019年02月20日 11:53

福島第1原発事故で国や東京電力に損害賠償を求めた訴訟の判決で、支援者らに勝訴の幕を掲げる弁護団=20日午前10時30分ごろ、横浜地裁前
福島第1原発事故で国や東京電力に損害賠償を求めた訴訟の判決で、支援者らに勝訴の幕を掲げる弁護団=20日午前10時30分ごろ、横浜地裁前

 東京電力福島第1原発事故の影響で福島県から神奈川県に避難してきた住民らが、国と東電に総額約54億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は20日、両者の責任を認め、原告175人のうち152人に計約4億1900万円を支払うよう命じた。中平健裁判長は、国が東電に対する規制権限の行使を怠ったと認定し、「著しく合理性を欠き、違法」と判断した。

【原発避難訴訟判決】提訴5年、安堵と不満「賠償不十分」
 


 全国で約30件ある同種の集団訴訟のうち判決が言い渡されたのは8件目。東電の責任は全ての判決が認め、5件が国の責任も認定している。原発事故を巡る両者への責任追及の動きが加速しそうだ。
 
 中平裁判長は判決理由で、国は東電から津波の試算に関する報告を受けた2009年9月の時点で、原発の敷地高を越える津波が到来し、浸水被害で全電源を失う事態を予見できたと指摘。対策となる電源設備の移設を進めていれば、「大量の放射性物質の外部放出という事態は回避できた」と述べた。
 
 さらに電源設備の移設は遅くとも10年末までに可能で、国にとって困難ではないとも言及。にもかかわらず「国は実質的に津波は到来しないと見なして当面の間、具体的な安全対策を取らなかった」とし、「看過しがたい過誤、欠落があり、東電への規制権限を行使しなかったと認められる」と非難した。
 


横断幕を掲げて行進する原告ら=20日午前9時25分ごろ、横浜地裁前
横断幕を掲げて行進する原告ら=20日午前9時25分ごろ、横浜地裁前

 賠償額については、古里を失ったことへの慰謝料などを認め、国が定めた各原告の居住エリアごとに金額を算定。居住制限区域の原告には、これまでの判決で示された水準を上回る額を認めるなど前進もみられたが、総じて請求額に比べて低く抑えられる傾向に変化はなく、課題も残された。
 
 原告側弁護団事務局長の黒沢知弘弁護士は判決後の会見で、「国の責任が5回も断罪された。これ以上争うなと言いたい。十分な賠償を得られていない人もかなりいるが、判決が賠償の在り方を変える道しるべになるのでは」と語った。
 


福島第1原発事故で東京電力や国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、支援者らに勝訴の幕を掲げる原告ら=20日午前10時35分ごろ、横浜地裁前
福島第1原発事故で東京電力や国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、支援者らに勝訴の幕を掲げる原告ら=20日午前10時35分ごろ、横浜地裁前

 弁護団によると、原告になったのは福島県からの避難者ら60世帯175人。避難生活に伴う精神的苦痛への慰謝料(事故後から1人当たり月額35万円)や故郷を失った「ふるさと喪失」への慰謝料(1人当たり2千万円)などを求めて、2013年9月から順次提訴した。

賠償増額は小幅、救済に残る壁

【解説】全国の避難者訴訟で原告団が目指したものは、未曽有の惨事に対する国と東電の責任の明確化に加え、避難者への適正な賠償だ。両者をそろって断罪する判決は今回で5件目となり、司法判断は定着しつつあるといえよう。一方で賠償額の上積みは全体として小幅にとどまり、真の被害救済に向けて課題が残る。

 原子力損害賠償法に基づき

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