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川崎の日本民家園を生んだ男描く市民劇 5月、上演

話題 神奈川新聞  2019年02月18日 02:03

「日本民家園ものがたり」の制作陣。(左から)演出の鈴木龍男さん、脚本を手掛けた小川信夫さん、実行委員会の藤嶋とみ子委員長、古江さんの長男恭雄さん。恭雄さん役を演じるキクチトシオさん=川崎市役所
「日本民家園ものがたり」の制作陣。(左から)演出の鈴木龍男さん、脚本を手掛けた小川信夫さん、実行委員会の藤嶋とみ子委員長、古江さんの長男恭雄さん。恭雄さん役を演じるキクチトシオさん=川崎市役所

 日本を代表する古民家の野外博物館「川崎市立日本民家園」(多摩区)の誕生までを描いた市民劇「日本民家園ものがたり」が5月に市内で上演される。設立に情熱を注いだ一人の市職員を主人公に、地方から出てきた労働者たちの人間模様も描写。プロ、アマの劇団員や公募市民ら35人が出演予定で、近く立ち稽古を開始する。

 川崎の歴史や人物をテーマにした「川崎郷土・市民劇」の第7弾。主人公は、1967年の民家園開設に川崎市教育委員会の文化財担当職員として奔走し、初代園長となった古江(ふるえ)亮仁(りょうにん)さん(2001年、86歳で死去)。

 元々、大学で考古学を教えていた古江さんは文化財保護法ができた翌年の1951年、文化財担当の嘱託職員として市に入庁。57年には川崎南部にあった沖縄伝統芸能に光を当て、市初の無形文化財指定に尽力するなど川崎の文化の再発見と保存に努めてきた。


古江亮仁さん
古江亮仁さん

 物語は、川崎市にとって屈辱的なニュースに古江さんが触れたことから動きだす。64年、市北部の古民家「伊藤家住宅」が県文化財審議会の決定で横浜三渓園に移されることになった。

 古江さんはこの貴重な古民家を川崎に残そうと立ち上がり、行政や市議会を巻き込んで返還運動のうねりを生み出していく。念頭にあったのは、国内の古民家を集めたスウェーデンの野外博物館だった。古江さんは構想に賛同する学者らの協力も得て、返還活動を活発化。市民劇では当時、県会議員として返還活動を支えた元参院議員・斉藤文夫さんの働き掛けなどにも触れる。

 2006年の第1回市民劇から全ての脚本を手掛ける劇作家の小川信夫さん(92)は「川崎は地方から上京してきた労働者の街でもあった。民家園はそうした人々の心のふるさととしても重要なものだった。古江さんの物語とともに、労働者の群像もドラマとして描いた」と明かす。

 演出を担当する劇団前進座の鈴木龍男さん(65)は「これまでの市民劇で最も現代に近い物語。年配の人は自分の人生に重ねることができ、若い人は親や祖父母世代の話としても楽しめると思う」と強調。当時の川崎の写真やドキュメンタリー映像も駆使し、地方の民謡や沖縄の伝統舞踊などエンターテインメントの要素も加味した舞台に仕立てる予定という。

 古江さんの長男恭雄さん(73)は「目立つことを好んだ父だったので、今回の市民劇を喜んでいると思う」と話した。

 上演は5月10~12日が多摩市民館。同18、19日はエポックなかはら。問い合わせは、実行委員会事務局電話044(555)0588。


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