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「まずは一歩踏み出して」 骨髄移植のプロボーダーが訴え

話題 神奈川新聞  2019年02月15日 02:45

骨髄ドナー登録などの啓発活動を続ける荒井さん=東京都内
骨髄ドナー登録などの啓発活動を続ける荒井さん=東京都内

骨髄ドナー登録などの啓発活動を続ける荒井さん=東京都内
骨髄ドナー登録などの啓発活動を続ける荒井さん=東京都内

 白血病と同じ血液疾患で骨髄移植を経験したプロスノーボーダーが、ドナーを増やす活動に奮闘している。16日には啓発活動として川崎市内で音楽イベントを初めて開催。折しも競泳の池江璃花子選手(18)が白血病と診断されたことを公表した。抱えているであろう心の痛みに、同じアスリートとして思いを寄せつつ、ドナー登録への協力を呼び掛ける。「彼女を応援するためにも、まずはできる限りの行動をしてほしい」

 活動に取り組むのは荒井daze善正さん(39)=東京都在住。2006年に異変に気付き、100万人に1人がかかるとされる「慢性活動性EBウイルス感染症」とその後診断された。生存率は5割にも満たないと言われる難病で、「1週間くらい自暴自棄になった。何で俺なんだよって」。妻育子さん(41)や仲間の励ましが折れそうな心を支えてくれた。

 回復には骨髄移植が求められ、骨髄バンクに登録して型が合うドナーを探した。14人が適合したが、病気や仕事などの理由で提供者はすぐに現れなかった。結局、移植手術を受けたのは08年の夏だった。

 手術から約8カ月後の09年3月、懸命なリハビリで復帰した。「とにかく早く復活すれば、それ自体がニュースになる」。移植経験者が何の問題もなく、術前と同じ日常生活が送れることを訴えたい気持ちもあったという。

 「もらった命だからこそ、病気への理解を求めるため、多くの人に伝えないといけない」。そんな使命感も抱いた。献血やドナー登録を増やそうと、11年には「SNOW BANK」という団体を設立。スノーボードを軸とした啓発イベントを都内などで開催したほか、学校での講演、会員制交流サイト(SNS)上でつながった患者の激励などに奔走した。

 川崎市川崎区のクラブチッタで開く今回の音楽イベント「COTSU FES 2019」もその一環で企画した。テーマは「音楽の、ロックの力で、ドナー登録者を増やし白血病患者の命を救う!」。ドナー登録は1992年の制度開始から30年近くが経過。昨年12月末の登録者は49万人超だが、54歳の年齢制限もあって今後は登録者が減少するとみられ、新たな世代の登録が不可欠という。

 12日には池江選手のニュースにも触れた。病魔に襲われ勝負の舞台に立てないアスリートの無念さは痛いほど分かる。かつての自身もそうだったからだ。同時に彼女の芯の強さも感じた。「池江選手は何かの考えがあって公表したのではないか。抗がん剤治療も始まるだろうし知られたくない部分だってある。目に見える行動をしてムーブメントが起きれば、きっと彼女の耳にも届くはず」

 せめて、そうしたうねりを伝えたいと願う荒井さんはイベントに向けてこう訴えた。「みんなが笑顔になれるから、まずは一歩踏み出して」

 16日は会場近くで献血・ドナー登録会も開催(午前10時~11時半、午後1時~4時半)。荒井さんのトークショーや共感したアーティストのライブなどは午後4時から開演。ライブは2500円。問い合わせは、クラブチッタ電話044(246)8888。


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