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時代の正体
市施設でヘイト団体集会 差別言動繰り返し

時代の正体 神奈川新聞  2019年02月14日 17:00

ヘイト集会に抗議する市民が掲げたプラカード=11日、川崎市川崎区の市教育文化会館前
ヘイト集会に抗議する市民が掲げたプラカード=11日、川崎市川崎区の市教育文化会館前

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市の公的施設がまたもヘイトスピーチによる人権侵害の舞台と化した。11日、極右政治団体・日本第一党最高顧問、瀬戸弘幸氏らの団体が主催した集会。市は差別的言動をしないよう2度目の「警告」を行った上で市教育文化会館の使用を許可したが、在日コリアンへの差別扇動は繰り返され、その悪辣(あくらつ)さはいや増している。

 インターネット上の動画には、冒頭のあいさつで代表の佐久間吾一氏が口火を切る様子が収められている。「旧日本鋼管の土地をコリア系が占拠している」「共産革命の拠点が築かれ、いまも闘いが続いている」。悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗(ひぼう)中傷。続いて登壇した鈴木信行葛飾区議、岡野俊昭元銚子市長が侮蔑と排外主義むき出しのヘイト発言を重ねた。「新たに外国人がやって来ると困る」「日本語を覚えないなら帰った方がいい」「韓国はたくさん人を殺せば英雄になれる野蛮国」

 同時刻の会館前。プラカードを手にした市民が抗議の意思を示していた。横浜市から駆け付けた女性(65)は「同じことの繰り返し。行政が不許可にせず、どうやってヘイトを止めさせられるというのか」と悔しがった。差別的言動があったら次回は不許可にするといった「条件付き許可」の選択肢もあった。警告は前回に続くもので、より強い措置がなぜ取れないのか女性は解せなかった。

 ペナルティーのない警告が歯止めにならないことは明らかだった。昨年12月の集会で警告を受けた佐久間氏は「(使用許可に反対する市民への)アリバイ」と逆宣伝に利用。今回、警告が会場に伝えられたのは集会終了の直前だ。瀬戸氏は「冒頭で読み上げる必要はない」と自身が制したと明かし、2度目の警告にも「何とも思わない。私は関係ない」「ヘイト発言はなかった」と言ってのけた。

 そもそも瀬戸氏は市のヘイト対策の無効化を狙って市内の公的施設で集会を繰り返す。今回も警告にとどめた妥当性を市教育文化会館の豊田一郎館長が「ヘイトスピーチを行わせない確約を得た」「周知するよう伝え、団体側は『分かりました』と答えた」と強調すればするほど、手玉に取られているようにしか映らない。実際、瀬戸氏は「会館の職員はわれわれに好意的だ」と公言し、弱腰の対応をまたも逆手に取る物言いまで許している。

 公的施設での差別的言動を防ぐガイドラインを施行するなど「さすが多文化共生の川崎市」と感心していたという男性(67)は「会館の対応からは知恵を振り絞って被害を食い止めるという姿勢が見られず、内実のちぐはぐさに失望した」。佐久間氏は講師の肩書を示して「『警告』の経緯の説明を市長から受けたい」とツイッターに投稿、臆面もなく圧力をかけてみせる。寒空の下、抗議に立ち続けた男性は言う。「足元を見られているのだろう。差別を許さないというのなら、具体的にやめさせる策を講じなければならない。行政だけでなく議会も一丸となって毅然(きぜん)と対峙(たいじ)すべき時だ」


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