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「逃げろ!」が号砲 高台への避難をイベントで体験 逗子

社会 神奈川新聞  2019年02月13日 17:00

「逃げろ」の合図で、本堂正門まで走り出す子どもたち=逗子市久木
「逃げろ」の合図で、本堂正門まで走り出す子どもたち=逗子市久木

 津波で多くの犠牲者を出した東日本大震災を教訓に、いざというときの行動につなげてもらおうと、高台への避難を体験するイベントが11日、法性寺(逗子市久木)で開かれた。被災地支援活動を続ける団体「逗子災害ボラバスターズ」が主催。4回目の今年は市民ら約60人が参加し、山門から本堂正門までの急坂を駆け上った。

 中学生以上の男女で着順を競うものや、子ども連れら誰でも参加できるものなど、五つの部門で実施。「逃げろ!」の合図をもとに、児童や母親、幼児を抱えた父親らが150メートルを駆け上った。車椅子にくくり付けたひもで車椅子利用者を引っ張り上げる練習も行われたほか、避難するまでの時間を把握してもらうために全員のタイムを計測。早い人で30秒から50秒弱で本堂正門にたどり着いた。


走る前に、ラジオ体操で体をほぐす参加者=逗子市久木
走る前に、ラジオ体操で体をほぐす参加者=逗子市久木

 市内に住む男児(11)と弟(9)の兄弟は「もし津波が来たら、必死で逃げようと思った」と話し、父親(40)は「子どもたちもイベントを通し、高台へ逃げることの大切さをより理解できたと思う」と話した。団体は震災後、宮城県女川町や岩手県陸前高田市で、畑の開墾の手伝いやバスツアーの企画など復興支援を続けている。女川町内で高台への避難を体験するイベントが行われていることを知り、「海沿いの逗子でも、津波から逃げる大切さを伝承したい」とイベントを企画した。団体は「震災からもうすぐ8年。被災地を忘れず、復興への応援を続けながら、地元でもできることをしていきたい」と話している。


幅広い世代が高台への避難を体験したイベント=11日、逗子市久木
幅広い世代が高台への避難を体験したイベント=11日、逗子市久木

備えの大切さ実感


 主催した団体の担当者に促され、中学生以上の女性で着順を競う部門に参加した。

 記者を含め、7人がスタートラインに着いた。中学、高校時代は陸上部に所属していた記者だが、10年近くまともに走っておらず、緊張もした。

 「逃げろ!」の合図で、勢いよく走りだした。が、急坂の中盤で勾配がきつくなり、速度はみるみるうちに落ち、小股走りに。「もし津波が来ていたら」と自らを奮い立たせたが、ゴール直前に足がもつれて転倒してしまった。

 県の被害想定によると、大正型関東地震による津波の死者数は、三浦市が最多で2470人。鎌倉市で1920人、横須賀市で1850人、逗子市で1670人などとなっている。

 津波が押し寄せたときにどこを目指すか、転倒せずに逃げ切る足腰を日頃から養っているか、自力で避難できない人をどう助けたらいいか…。「実際に高台へ走ってみることが、いざというときの行動を考えることにつながるはず」。参加する前に担当者に言われた一言を強く実感した。


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